〜クロウスタビガ観察〜
(2-13.X.2015)
参加者:いーぐる
本州に生息するヤママユガ科の観察最難関種といえば、
クロウスタビガ
Rhodinia jankowskii hattoriae
秋の色をまとっているかのような美しさも相まって、ファンが多い種類だと思います。
今年は、昨年もクロウスタビガを観察した群馬県(爆裂クロウスタビガ採集)に通い、
発生の消長や飛来の時間帯を観察しました!
群馬県のポイントで計4回に渡り観察した様子をまとめました。
採集記としては読みにくいものになっているので、データとして扱っていただければ幸いです。
2-3.X.2015
日没直後からの同地点でのライトトラップで飛来の時間帯を観察し、街灯巡りも合わせて発生の消長を掴む作戦です。
現地に到着した頃にはとっくに日が沈んでました!!
18時半ごろ急いでライトトラップを設置して一安心。。。
期待を込めてライトを見つめますが、最初に飛んでくるのはクスサンやカワゲラです。
クスサン去年よりは少ないなぁ。この場所のクスサンは赤褐色系が多いなぁ。
と、クスサン観察に沸々と身が入りだしたころ、怪しい影が!!
2015.10.2 群馬県 クロウスタビガ
18時55分ごろに飛んできました!
三日月型の透明紋とその周辺の秋色のグラデーションが最高に渋くておしゃれ!
擦れの少ない個体では、ピンクの淡い色彩と、後翅の黒地に映える黄色の翅脈が美しさを一層強調します。
19時半ごろまでライトトラップを見ていましたが、追加個体は飛来しなかったので、街灯巡りに出かけました。
標高600〜800mほどの範囲を見て回りましたが、今回は高めの標高の街灯下でクロウスタビガを観察できました。
2015.10.2 群馬県 クロウスタビガ
環境にもよるのでしょうが、この場所では街灯近くの高枝よりも、
下草の目立たないところで静止していることの方が多いです。
2015.10.2 群馬県 クロウスタビガ
どの個体も擦れが少ないので、おそらく発生初期なのでしょう。
2015.10.2 群馬県 ヒメヤママユ
ヒメヤママユも観察できました。
こちらも発生初期のようで、個体数は少なめです。
大きさはクロウスタビガに似ていますが、丸い翅端が特徴的なので、遠くに止まっていても区別ができます。
2015.10.3 群馬県 クスサン
クスサンの個体数は多かったです。
色の変異が大きく、多個体を観察すると非常におもしろいです。
2015.10.2 群馬県 クロウスタビガ
23時半ごろにライトトラップの場所に戻るとクロウスタビガが新たに飛来していました!
結局この日はライトトラップで 2exs、街灯巡りで 6exs、
計 8exs(4♂,4♀)のクロウスタビガを観察できました。
1年ぶりにクロウスタビガを見ることができて大満足です!
6-7.X.2015
前回の観察から4日後。
新月は13日なので、月齢もまあまあいい感じになってきています。
前回より早めに到着し、18時にはライトトラップを点灯しました。
この日、いち早く飛んできたのは ・ ・ ・
2015.10.6 群馬県 ウスタビガ
ウスタビガの♀でした。
クロウスタビガと同じRhodinia属のやままゆで、4つの透明紋が特徴的です。
その後19時までにクロウスタビガも2頭が飛来しました。
街灯巡りでもクロウスタビガは好調!
2015.10.6 群馬県 クロウスタビガ
標高高めの街灯で多くの個体を観察できました。
ただ、擦れの目立つ個体が多い。。。
特に風の強い日や雨の日も無かったので、
標高の高い地域ではややピークを過ぎたあたりなのかなと、このときは思いました。
2015.10.6 群馬県 クロウスタビガ
標高が低めの地域では、個体数は少なかったのですが完品が多く見られました。
標高600〜800mほどの地域を見ているので、垂直200mの差が発生時期の差に現れているようです。
2015.10.6 群馬県 クロウスタビガ
クロウスタビガは翅を広げて、葉の裏面に止まることが多く、色も比較的目立つので、
高い枝に止まっていても簡単に目に留まります。
翅を広げて止まるという点は、特に見つけやすさポイント高いので、探す側には大助かりです。
むしろ気を付けなければならないのは、下草の裏側に止まっている場合です。
空間がないところでは、翅を閉じて止まることもあるため、上からサッと見ただけでは見逃しやすいです。
気温が11℃ほどと高かったこともあってか、街灯・トラップともに蛾の集まりは熱かったです!
トラップの目立つシルエットはクスサンですが、19時〜0時にかけて、クロウスタビガはさらに2頭飛来しました。
この時期、やままゆ以外に目立つ大型蛾はカトカラの仲間です。
2015.10.6 群馬県 シロシタバ
シロシタバは特に個体数が多いです。
かなり大型なのでとても迫力があります!
2015.10.6 群馬県 ムラサキシタバ
シロシタバと並ぶ大型カトカラのムラサキシタバ。
後翅の瑠璃色がとてもきれいな種類です。
カトカラの仲間は大抵は翅を閉じて止まっています。
よく耳にするのが「ムラサキシタバだ!」と思って期待したらシロシタバだったという体験。。。
慣れると翅の色や模様、形ですぐに識別できるのですが、他にもこの2種には面白い見分け方があるらしいです。
それは翅を閉じて静止しているときの方向・・・!
下を向いて静止するのがシロシタバで、上向きがムラサキシタバであることが多いのです!
100%ではないのですが、自分の経験では、かなりの確率で成功する同定方法です!
2015.10.7 群馬県 エゾベニシタバ
このポイントではエゾベニシタバという山間部特有(?)のカトカラも見られます。
この日、クロウスタビガはライトトラップで 4exs、街灯巡りで 24exs、
計 28exs(23♂,5♀)を観察できました。
多くは標高の高い地域でやや擦れた状態で観察できたものでした。
そしてやはり、♂に偏ります。
9-10.X.2015
この日はポイントに着いたのが23時過ぎで、翌朝早朝に帰る予定のため時間がない。。。
ライトトラップは諦めて、街灯巡りのみにしました。
前回の観察ですでに擦れている個体が目立ったため、今回も状態はイマイチかな・・・
と思いきや・・・
2015.10.9-10 群馬県 クロウスタビガ
きれいな個体が多い!!
前回に擦れ個体の多かった場所でも、完品が多数観察できました。
2015.10.10 群馬県 クロウスタビガ
そして、湧いている!!
この日の日中の最高気温は20℃と、この5日間ほどでは最も高かったため一斉に羽化したのでしょうか。
前日の気温が特に低く、雨が降っていたということも影響しているのかもしれません。
2015.10.10 群馬県 クロウスタビガ
一見しょぼい看板にクロウスタビガ5頭くっついていたり。
2015.10.10 群馬県 クロウスタビガ
よく見ると、ヒメヤママユとシロシタバも写っています。
クスサン、ヒメヤママユ、カトカラ等の飛来も多かったです。
2015.10.10 群馬県 クロウスタビガ
一番集まりの良かった街灯には11頭のクロウスタビガ!
この日は街灯巡りのみで 39exs(28♂,11♀)観察しました。
前回とは打って変わって、きれいな個体が多かったこと、
標高低めの地域でもコンスタントに飛来していることが観察できました。
12-13.X.2015
今までの観察は大学終わりに無理やり出発し、
翌朝のゼミやバイトに間に合うように帰っていたので、かなり無茶な日程でしたが、
この日は休日の昼に出発したためのんびりできました。
10日間のうちに4回も同じ高速に乗ると、この景色も懐かしくなってきます。
余裕の時間に現地に到着し、17時半ごろにライトトラップを点灯しました。
すると早速クロウスタビガがパサパサ飛来しました!
2015.10.12 群馬県 クロウスタビガ
1頭を皮切りに次々と飛来し、19時半までに17頭が飛来しました。
この飛来の仕方は、昨年観察した時の飛来の仕方に非常に良く似ていました(爆裂クロウスタビガ採集)。
今回トラップを行ったポイント(標高約600m)では、
標高高めのポイントより遅れて10月10日前後に発生ピークが訪れ、
日没後1〜2時間のうちに飛来することが多いようです。
状態は完品が多いですが、擦れている個体も3割ほど混じる感じでした。
2015.10.12 群馬県 クロウスタビガ
19時半〜21時の間にはライトトラップに4頭が飛来しました。
街灯巡りでもクロウスタビガはあちこちで観察できましたが、晩秋のやままゆも目立ってきていました。
2015.10.12 群馬県 ヒメヤママユ
ヒメヤママユは個体数が多かったです。
多数の個体を観察するとおもしろい個体が混じるのも、楽しみの1つです。
計4回の観察でヒメヤママユは100exsは見たと思います。
極小個体や大型♀等は数頭観察できましたが、黒化型は1頭も観察できませんでした。
黒化型はやはり、特定地域に多い変異のようです。
2015.10.12-13 群馬県 ウスタビガ
ウスタビガも多く発生していました。
この日だけで15頭ほど観察しましたが、♂は1頭のみであとはすべて♀でした。
強力な街灯には蛾が湧いています。
クロウスタビガも1頭写っています。。。
2015.10.12 群馬県 クロウスタビガ
今回は標高が低めの地域で多数観察できました。
高めの地域にもたくさんいましたが、前回と比べるとやや少なくなったようでした。
2015.10.12 群馬県 クロウスタビガ
21時以降ライトトラップには新たに4頭飛来していました。
この日のクロウスタビガのトラップへの飛来は 25exs、街灯巡りでは36exs、
計 61exs(54♂,7♀)が観察できました。
4回の観察で多数のクロウスタビガを観察できたとともに、
飛来の仕方や発生のタイミングがなんとなく分かってきた気がします。
約 130頭のクロウスタビガを観察しましたが、色の変異はほとんど見られませんでした。
しかし、北海道亜種に特徴づけられるような、
透明紋の小さい個体が稀に観察できたのはおもしろかったです!
思う存分クロウスタビガを観察することができました!
By いーぐる
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