昆研HP TOPへ

林床の黒兜


23-25.[.2019


参加者:がしゅん・たかも酢・ガッキー・ドロポン






今回はがしゅん先輩、たかも酢先輩、ドロポンと行った屋久島遠征。
私からは事前に目をつけていたあるポイントでの模様を紹介します。



カミキリを入口に虫を始めた私ですが、与那国島でトビイロエンマを
ゲットして以来(ぐにぐに与那国参照)フン虫、特にエンマコガネにハマっています。
愛読書の『日本産コガネムシ上科図説 第1巻 食糞群』をパラパラと読んでいたところ、
ひときわ目を引いたのが屋久島固有種のヤクシマエンマコガネ。
色こそ他と同じ黒ですが形状がカッコいい。発見難易度はトビイロエンマと同じ★★★★(稀種)。
また、屋久島のフン虫で外せないのがオオセンチコガネ屋久島亜種、通称ヤクルリセンチ。
近畿地方のルリセンチとも異なる独特の色味が魅力的です。
屋久島、一度は行きたいな…。



そんな折、がしゅん先輩から屋久島遠征へのお誘いが。
渡りに船ということで鹿児島へ。そして高速船で屋久島へ!






天気に少し不安がありましたがこの通り。期待が高まります。




図説曰くヤクシマエンマは暗い林内を徘徊するとのこと。
夜間ルッキングで採集されたという情報をキャッチしたため、日が暮れるのを待って目をつけていたポイントへ向かいます。



日が暮れてから目的の登山道へ。林床をヘッドライトで照らしながら練り歩きます。


一番目につくのは大小さまざまなサツマゴキブリ。無数にあちこち歩きまわっています。



ん、なんかいる!落葉の間に黒い虫が…。



エンマ!と思ったらツチカメムシの仲間。個体数が非常に多く、サイズ、色ともにエンマコガネと紛らわしい。


他にはこんな虫も



トゲナナフシ。こちらも数が多かった。

ルイスオオゴミムシ

オオフタモンウバタマコメツキ



その後も黒い虫が歩き回っていますが、ツチカメムシばかり。
もっと奥に進まないといないのか?なんて考えていたら少し雰囲気の異なる虫が…。








これは…



ヤクシマエンマコガネ。憧れの虫がこの手に!





こちらは採集後の写真(ドロポン撮影)。
大きく発達した隆起をもつ前胸が目立ちますが、
重要なのが後翅の退化。同じく後翅の退化したコブヤハズカミキリ同様、
上翅が短いため相対的に前胸部が大きいずんぐりむっくりしたシルエットです。






意外とあっさりと見つけてしまった第一目標。これはビギナーズラックか?
確かめるには探すしかない、ということでヘッドライトに懐中電灯の二刀流で探していると今度はなんと2頭!







あっちにも、こっちにも!





ん?めちゃくちゃいるぞ。



稀種ではなかったのか?



実はヤクシマエンマコガネ、屋久島の中でも極めて局所的な分布であることが知られており、それを考慮しての★★★★のようです。
7000年以上前に鹿児島南方で起きた火山爆発に伴う大規模な火砕流が屋久島を襲い、
被害を免れた一部の個体群を残してヤクシマエンマは壊滅。
飛翔能力がなく移動能力が低いため今なお島の一部にしか生息しないという仮説が立てられています。
そう考えると、こうして生きたヤクシマエンマを観察できることも幸運なことですね。


ヤクシマエンマがいた環境を日中に撮影した写真。図説の解説通りの暗い林床です。



僕がエンマを探してぐるぐる歩き回る中、先輩方はライトラを開始。
鬱蒼とした林内のため光は遠くまでは届きませんが、それでも虫は飛来しました。



ムツボシシロカミキリ。南方系のシロカミキリで、一部混生しながらイツホシと沖縄本島を境に棲み分けているようです。

カブトムシ屋久島・種子島亜種。
最近になって独立亜種とされ、小柄で赤味が強いことが特徴のようです。




ヤクシマノコギリクワガタ。カブトムシと同じく原名亜種より赤味が強い。



オオミズアオ屋久島亜種







初日の結果で大満足でしたが、せっかくなので用意してきた牛糞と臭豆腐の2種類のトラップを設置し、
臭豆腐が糞の代替品となりうるのか調べてみました。
以下トラップの成果です。



ドロポンによる撮影のヤクシマエンマコガネ♂個体。武将の兜を彷彿とさせる発達した前胸が最高ですね…。



こちらは♀の個体。♂と比べて前胸の発達が弱い。個体数は♂よりも少なめでした。



カドマルエンマコガネ(左)。右のヤクシマエンマと非常に近縁(同じStrandius亜属)な本種。
沖縄以南を除く日本全土に広く分布する普通種ですが、今回はこの1個体しか得られませんでした。
国内のStrandius亜属4種のうちこれで半分は制覇。残るは珍品ヤマトエンマと
奄美のオオシマエンマ。いずれも良い虫です。ヤマトエンマは今年チャレンジしたいな…




ツヤエンマコガネ。この画像では分かりづらいですが、強い光沢をもちます。



一瞬ヤクルリか!と期待しましたが残念ながらセンチコガネ。低標高地には本種、
中〜高標高地にはヤクルリと棲み分けているようで、標高不足のようでした…。残念!






トラップにはヤクシマエンマの他、ルッキングでは見つからなかったフン虫も集まりました。
結論としては糞トラップと臭豆腐トラップの結果にはほとんど差はなく、
代替品として問題なく使えるようです。しかし、驚いたのは臭豆腐のあまりの臭さ!
牛糞の方がよっぽどマシなレベルでした…。牛糞がどうしても入手できない場合の最終手段ですね。



ということで目的の半分は達成。もう半分のヤクルリセンチや
今回はハナから諦めていたヤクコブに会うため、いずれまたこの島に戻ります…









おしまい

ガッキー





BACK


TOP





SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送