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千葉な大東のセミ


(4.2-4.2019)


参加者:はっぽーさい








お久しぶりです。はっぽーさいです。

だんだん大学が忙しくなり、採集に行ける時間が少なくなってきました。


今年を逃せばしばらくは遠征できないかもしれない・・・


と思って焦ったがため、いつか必ず行きたかった南大東島へ、

採集旅行へ行くことを決めてしまいました。



沖縄本島の東に位置する南大東島は、

ヒメハルゼミ(Euterpnosia chibensis chibensis)の亜種、

ダイトウヒメハルゼミ(Euterpnosia chibensis daitoensis)が生息することで知られています。

果たしてその姿を拝むことはできるのか!



4月2日



島へ到着。



初めての島で、わくわくが止まりません!



宿にチェックインし、辺りを散策。

見渡す限りのサトウキビ畑・・

写真は撮りませんでしたが、

畑ではタイワンイナゴの姿を多く見ることができました。



事前に調べた場所を下見すると、

幸先よく抜け殻発見!


ダイトウヒメハルゼミの抜け殻


傍らにはリュウキュウアサギマダラ

が飛んでいました(写真なし)。

今回は普通に観察することができましたが、

2002年くらいまでは生息していなかったそう。

もともとは「飛来」してきたものと考えられています。



先ほど見つけた抜け殻の主、

大本命のダイトウヒメハルゼミの

鳴く時間のピークは夕方、日が沈むころです。



初日から張り切っていきたいところ!

・・・であるべきなのでしたが、

ご飯を食べて逃しました←



強いて言い訳するならば、

飯処の有るような島の中心部では、

基本的にダイトウヒメハルゼミは鳴かないことを実感。

とはいえこのままではあまりに悔しいので、

ご飯を食べてから急いでポイントへ



夜八時。16 ℃ほどです

沖縄と聞くからに暖かいところを想像していましたが、

なかなかに肌寒い・・・



幼虫を探して地面を見ると、


ミヤコヒキガエル

ヒキガエルを発見


結構な数がいました。

サトウキビ畑の害虫駆除のために、

宮古諸島から導入されたとだとか。



ときおり跳ねるミヤコヒキガエルにびびりながら、

ライトを振り回しているうち、

枝をかすめた光線に、ちょこんとしたシルエットが・・・!


ダイトウヒメハルゼミの幼虫


なんと初日にして幼虫を発見!

この出会いには非常に興奮し沸き立ちましたが、

一方でどことなく嫌な予感がしていました。



勘みたいなものでしたが、

一応少し時間をおいて離れてみて、

戻ってきたら羽化は――失敗していました。


ショック・・・



カメラを当てた光のせいか、低い気温のせいか。

なんにせよ無念でした・・・





4月3日

昨日のショックはやや抜けきらぬままでしたが、

自転車を借りられたので行動範囲を広げました。



ちろっとクワガタを探してみましたが、

まったく見つかりません。

素人が簡単に捕まえられるものではなさそう・・・



諦めて宿に戻ったところで、現地の方に貴重なお話を伺うことができました。

(ありがとうございました!)



色々お話を聞く中で、気になったのは

今年は島の植物がちょっとおかしいとか。

例えば


ゲットウ


このゲットウの花、島の各地でこんな感じの状態でしたが、

例年はもう少し「咲いた」段階になるそうです。

 

すっかりお世話になったその方に、

なんと夕方のセミの案内をして頂けることに!



時刻は17時30分頃。

現地に着くなり、

「ヴィヴィーン、ヴィヴィーン・・・」

という感じの抑揚のない声・・・!

ダイトウヒメハルゼミの鳴き声です!

感動です!

「ヒメハルゼミ」(E.chibensis chibensis)と比較して

ゆっくりしています。



もう一つのポイントへ移動し、時刻は18時頃に

辺りは日暮れ近くなり、大合唱!

「ヒメハルゼミ」の降りしきるような蝉しぐれとはまた違い、

まさに目の前で合唱する感覚!

具体的には、”ススキ”の低いところからも鳴き声がします。





「ヒメハルゼミ」はシイやカシなど、

一部の樹木のみを偏食しますが、

亜種たるダイトウヒメハルゼミはどういうわけか

ススキやアダン、ダイトウビロウなどで観察されます。



長い歴史で食性が変化した、と考えたいですが、

この説には一つ問題が。

というのも、リュウキュウアサギマダラなどのチョウとは違い、

セミは島を渡るほどの飛翔力がないと考えられているのです。



つまり、大東諸島の開拓に伴い移入したと仮定すれば、

開拓以来まだ100年と少しの歴史の中で、

あっさり食べ物を変えたことになります。

もとは頑なに偏食している種だけに、違和感があります・・・

謎です。



さて、セミたちは、大合唱が始まってしまえば、

警戒心が緩むようです

手づかみで採集した一匹はこんな感じ。


ダイトウヒメハルゼミ♂


ツクツクボウシのような模様です。

そのほかにもさまざまなバリエーションが観察できました。




ダイトウヒメハルゼミ♂


ダイトウヒメハルゼミ♂

こうしてみると全く違うセミに見えます・・・w



しばらくはしゃいでいましたが、

案内してくださった地元の方にお礼を言い、宿へ戻ります。



夜には昨日のリベンジの羽化観察を狙います。

・・・とはいえ昨日のがトラウマで、

かなり遅めに21時からの観測。



潮風の吹く林内でしたが、

前日ほど寒くはありませんでした。

その暖かさに期待をこめつつ、

少しの不安と共にライトを向けた先、

暗闇の中ひっそりと、

確かに「ダイトウヒメハルゼミ」が羽化していました・・・!


ダイトウヒメハルゼミ♀


儚げで美しく、もはや天使のように思えました

この日は他にも羽化を見ることができ、


ダイトウヒメハルゼミ♂


やや緑っぽく感じられる個体もいました。

性差、という風でもなさそうで、

羽化の段階からバリエーションがあります。



葉裏には


ダイトウヒメハルゼミ成熟♀

数日前に羽化したのであろう、成熟した♀が休んでいました。

こちらはかなり赤っぽい個体でした。


同個体


先ほど採集したオスたちと比べ、さらに色合いが淡いですね。



4月4日

朝、念のため昨晩の場所を訪れましたが、

抜け殻だけが残っていました。

次の日の朝までには飛び立つようです。



昼、ちょっと余裕をぶっこいて観光へ。


南の島といえばの海



南大東島で特徴的なのが、


大池のオヒルギ群落

このオヒルギという植物は、

本来は河口の汽水域なんかでみられる種類だそう。

それにもかかわらず、

まるっと陸に封じられた大池に生えてる様は

きわめて珍しいのだとか。



ちなみに、このオヒルギについても、

どうやってこの南大東島の大池にたどり着いたか、

いまいちわかっていないそうです。



観光する中でも徹しきれず、

たまに我に返って虫を追いかけていました



琴線に触れたのは


モンキチョウ


普通種ではありますが、

場所補正なのかとてもきれいと思いました。



他には


マルセルエグリゴミムシダマシ


こちらも普通種らしいですが、

大東諸島の固有亜種だそう。



クワガタは・・・

結局影も形もつかめませんでした←



夕方・夜にかけては、最後のセミ観察をしました。

この日も無事メスの羽化を見ることができました。

ピークのただ中といったところでしょうか。



あえて特筆すべきこととしては、



幸運にもメスの産卵を見ることができました。

この個体は茶色。本当に様々な模様です。



大満足だった旅も終わり、帰宅。

なかなか行くことができない島だけに、

とても貴重な体験をすることができました。



それでは、いつかまた。




by はっぽーさい





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