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海岸採集V

~アマモの精霊~


(18.V.2019)


参加者 : さかな、ドロポン








こんにちは!ドロポンです。

早いもので今年度も終わりが見えてきましたね。



新年度に突入する前にあと一回くらい篩を使っておきたいという謎の衝動にかられ、

青春18きっぷを握りしめて静岡まで行ってきました。



青春18きっぷは、筆者のように特筆すべき青春エピソードもないまま21歳になってしまった残念な大学生でも利用できるようで、

非常にありがたい企画であります。



18日の朝、4時過ぎに起床し軽く朝食を済ませて出発。

筆者はお腹が弱いので食べ過ぎるともれなく意図しない途中下車を迫られることになり、

行程に大きな支障をきたしますので食べる量には神経質にならざるを得ないのです。



東海道線に揺られることおよそ6時間。目的の駅に無事到着。

ここで静岡の実家に帰省中のさかなと待ち合わせ。

さかなと合流したのち、駅から最短距離で出られる浜を目指します。



ところが上手くいかないもので、海岸沿いの工事のために

広範囲に渡って海岸に出る道が通行止になっているではないか…



やむなく隣駅まで徒歩で移動し、駅からほど近いこじんまりとした海水浴場で篩をうならせることに。



浜には申し訳程度に半分枯れて茶色くなった草本が生えていましたが、

閑散としてなんとも虚しい空気が漂っていました。



浜の上空にはトビの群れが目を光らせ、

油断して油揚げでも出そうものならすぐにでもかっさらわれる、そんな雰囲気です。



2人で砂をふるいはじめますがなかなか甲虫の姿は見えず。

やはりここではダメかと思った頃に、本日初の甲虫が姿を現しました。







ホソハマベゴミムシダマシ Micropedinus pullulus (Boheman, 1858)

(左)♂, (右)♀



ゴミダマ図鑑★4。

ただ、混生するヒメホソハマベゴミムシダマシに比べると少ない、というだけで全国的には広く分布しているよう。

今回採集されたのは全てホソハマベで、ヒメホソハマベは確認できなかった。



ついに姿を現した甲虫に気を良くして篩に没頭していると、

今にも網の目を通り抜けようとする甲虫を発見。

何奴!と咄嗟に回収してみると、

ケシマグソコガネの仲間でした。







セマルケシマグソコガネ Psammodius convexus Waterhouse, 1875



居るところにはかなり大きい群れがいるそうですが、今回は後にも先にもこの一頭のみ。





しばらく虚無の時間が続き、集中が切れてきた頃篩の中に褐色の甲虫がいることに気づきました。



ゾウムシっぽいけど….ああっ!







ハマベゾウムシ Aphela gotoi (Chujo et Voss, 1960)

海岸に打ち上がるアマモを食うと言われているゾウムシです。

すなわち「アマモの精霊」

単調な色彩ゆえに目立つ眼が非常に印象的。



何が不思議かといえば、浜にはアマモどころか海藻の類が全くといっていいほど打ち上がっていないこと。

それから砂浜の奥の方、(かなり乾燥している)砂中のかなり浅い箇所に複数頭確認できたことでしょうか。

「なんでここにいるんだ。」というのが第一印象でしたが、

帰宅後に調べてみるとどうやらこのあたりの海にはアマモがかなり濃く生育しているようで、

それゆえにこの地域の浜一帯にはハマベゾウムシが多く分布しているようでした。



その後もハマベゾウムシ の姿は一定数確認できましたが、

未採集種の発見には至らず、場所を移すことに。





電車に再び揺られたのち、バスに乗って移動。

先ほどよりもずっと広い浜にやってきました。

海浜性と思しき植物が見られ、確かにここは良さそう。



今日はまだスナムグリヒョウタンゾウとか、ハマヒョウタンゴミダマとかいつもの顔ぶれを見ていないなあ。



と、とりあえずいつも通り根際をふるってみると、マルチビゴミムシダマシが入りました。




マルチビゴミムシダマシ Caedius marinus Marseul, 1876

しかもかなりいるなあ…という感じで短時間で10頭ほど発見。

逆にもっといるイメージのオオスナゴミムシダマシが最後まで発見できず。

その後もハマヒョウタンゴミムシダマシが入ったり、

アカアシコハナコメツキが入ったりと一定の成果をあげつつ、

最後にはトビイロヒョウタンゾウムシが2頭姿を現し、無事に静岡県産の個体を採集。



ハマヒョウタンゴミムシダマシ Idisia ornata Pascoe, 1866

すっかり顔なじみ。





アカアシコハナコメツキ Paracardiophorus sequens sequens (Candeze)







トビイロヒョウタンゾウムシ Scepticus uniformis Kono

ちなみに、得られた2個体のうち1個体は鳶色とは程遠い乳白色の個体で、改めて変異の多様さを感じることができました。帰宅後、どちらも♀だったことに気づく...





目的を達成しこの日の採集は終了。



現地でさかなと別れ、一路東へ。

鈍行での移動はやはり時間がかかりますね。

途中見えた夕焼けに染まる富士山が綺麗でしたが、写真がないのでもしかすると夢をみていたのかもしれない…



(静岡に来ていたのに「さわやか」には行きそびれました。お金が全然なかったので...)


22時頃に自宅最寄り駅に到着、この日の遠征を終えました。





来週には八重山に向けて旅立ちます。

その前にもう一箇所くらい採集に行ければいいなあ…と思いながら今日も教習所の待ち時間をぼんやり過ごしています。



まず免許とらなきゃ。



それでは!







今日はここらでよかろうかい……

筆 ドロポン





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