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春よ来い!


(12.U.2019)


参加者:宇治金時、ガッキー、ドロポン、ネオ








こんにちは!ドロポンです。
長かった試験期間も終わり、いよいよ2ヶ月に及ぶ春休みが始まります。



筆者は2月頭にインフルエンザに罹患してしまい、散々な目に会いましたが...
なんとかレポートも提出し終え(締め切り2時間前)、
課題にひと段落つけることができたのでした(この時点ではまだ一つレポートが残っていた...)。



レポートを提出しに来ていた同期4人が部室に集まったところで、
植物研究会に所属するネオが構内の植生調査をするということで一緒に採集することに。



この時期の採集といえば、マイマイの材割りとか、糖蜜採集とか色々ありますが今回はかなり手頃にできる樹皮裏採集をメインに行うことに。



幸い農学部構内にケヤキが多く見られるのでケヤキの浮いた樹皮の裏で越冬している虫たちを探します。


ケヤキ Zelkova serrata



※樹皮を過剰に剥がすことは樹木にダメージを与えることになります。浮きが大きかったり、間も無く剥がれ落ちそうな樹皮を最低限剥がして観察するようにしましょう。



まずはサークル棟横にあるケヤキから。

一枚剥がしてみると、


ウスキホシテントウ Oenopia hirayamai (Yuasa, 1963)

ケヤキ樹皮裏で越冬。
類似種にムツキボシテントウ Oenopia scalaris (Timberlake, 1943) がいますが本種はマツ類に依存する種のようです。
両種は上翅黒色部外縁の形状で識別することができます。

一箇所に数頭固まって越冬していました。

テントウムシでは他にも、

フタホシテントウ Hyperaspis sinensis (Crotch, 1874)ムツボシテントウ Sticholotis punctata が見られました。


フタホシテントウ Hyperaspis sinensis (Crotch, 1874)



ムツボシテントウ Sticholotis punctata

夏場、構内ではナミテントウクリサキテントウの存在が目立ちますが、冬場彼らはどこで越冬しているんでしょうか。
きっと構内のどこかで集団越冬していると思うのですが...




続いて講義棟の裏手にある林へ。

ここは学生実験の一貫として植生調査を行ったところです。
あのときは樹種も調べたはずなのですがほとんど覚えていない…



とりあえず樹種不明の樹皮を剥がしてみる。


エサキモンツノカメムシ Sastragala esakii HASEGAWA

ハートを背負っていることで有名なカメムシです。



続いてゾウムシの仲間。


ヒレルクチブトゾウムシ Pseudoedophrys hilleri

上翅の褐色紋が特徴的なクチブトゾウムシの仲間です。
かなりの個体数が確認できました。


中にはおんぶの状態で越冬しているものも。


他にも、

アカアシノミゾウムシ Orchestes sanguinipes も確認できました。


アカアシノミゾウムシ Orchestes sanguinipes

本種はケヤキの害虫としても知られていて、大発生することもあるようです。
色彩変異も豊富で、見ていて面白い種ですね。



地面に転がっていた手頃なサイズの材を割ってみると中から見慣れたゴミダマの姿が。


マルセルエグリゴミムシダマシUloma (Uloma) marseuli Nakai, 1956

ヒコサンエグリとかなり迷いましたが、触角に突起を確認したのでマルセルで確定としました。自宅の顕微鏡では下唇基節の様子を把握しづらいですね...


樹皮裏採集といえばチビタマムシ。
一頭のみでしたが確認できました。


チビタマムシの一種 Trachys sp.



同じ樹木の樹皮表面からはタマキスイの仲間が。

2ミリに満たない(微)小な甲虫です。
おそらくクロタマキスイ Pastillus eminentithorax (S-T. Hisamatsu, 2013) だと思われます。

クロタマキスイ Pastillus eminentithorax (S-T. Hisamatsu, 2013)

比較的自然度が高い場所で得られているようで、構内のポテンシャルの高さを実感できます。

これまでほとんど縁がなかった分類群ですが、こうして突然出会うと広い分類群に対する知識が必要だと感じます。



今回の採集で得られたのはこれくらいです。




現在、じょえる先輩が農工大構内及び府中市内での過去の採集記録を調査されています。

過去の記録をみると意外な昆虫が確認されていたり、たまに自分の記録が初だったりして面白いですね。


今年度は灯台もと暗しになってしまっている農工大学構内の昆虫相について時間をかけて調べていきたいと思います。


最後に、同定に協力してくださった皆さんにこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。


それではまた近いうちにお会いしましょう。








今日はここらでよかろうかい……

筆 ドロポン





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