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第60回 東京農工大学 学園祭 大昆虫展

(9-11.Ⅺ.2018)


参加者:昆研部員、昆研OB様、ご来場の皆様方








今年もこの季節がやってきました!!

我らが昆虫研究会は、毎年恒例の「大昆虫展」を今年も開催!!



写真ではあまり混雑していないように見えますが、ピーク時には狭い教室が一杯になるほどのお客様が来てくれました!

この場でお礼を言わせてください。

では、まずは、学祭までの準備の様子をご紹介!

今年のパーカーデザインはクレインが担当!!







色合いも良い感じ!かなりカッコいいです。

これを着て街を歩くと悲鳴が聞こえてきそう。

※我々はこれを着てファミレスで打ち上げをしました。

各々の展示品は各自前もって準備してきました。

数日前から始めた人、当日の朝に準備をした人、中には徹夜で作業した部員もいた中、みんな頑張って採集、飼育、撮影その他の活動の成果を挙げられたようです!



学祭一週間前からは、展示用の生き虫や配布用のカブトムシ幼虫、スズメバチ♂の採集を行いました。


空きコマや放課後を利用して、カブトムシ幼虫と♂スズメバチを採集しに構内を散策しました。

カブトムシ幼虫は昨年採れすぎた感があったため、今年は少なめ。

筆者が参加した時はコイル、さらに一年生のクレインとレイトンも手伝ってくれました!







別の日には、2年生のさかなが1年生と一緒に違う場所からも調達してくれていました。

3年生にもなると、2年生と1年生が交流しているのを見るだけで時の流れを感じてしまいます。

また、毎年人気のスズメバチのオスですが、残念ながら当日までに見つける事ができず・・

楽しみにされている方が大勢いらっしゃる事は重々承知の上ですが、いないものはいない(泣)
今年はそもそも雌雄に関わらずオオスズメバチの飛来が少なかったです。時期が遅かった説がありますが、あまり早く採りすぎると学祭当日までには弱ってしまいそう・・



代わりといっては何ですが、今年は生体展示を大幅にパワーアップ!

まずは、ハラビロカマキリとムネアカハラビロカマキリの展示です。




ムネアカハラビロカマキリ


ハラビロカマキリ

生体に添えて、レイトンが分かりやすく解説も書いてくれました!来場者の皆様におかれましては、外来種問題を考えるきっかけになった事を願います。

ムネアカは中国から侵入したと言われ、卵塊が中国産の竹ぼうきに付く事で入ってきてしまうそうです。在来のハラビロと同じく樹上性のカマキリで、サイズはハラビロよりずっと大きいためか、ムネアカが競争に勝ってしまい分布を徐々に拡大している一方でハラビロの数は減っていると言われています。

話が少し逸れますが、農工大カブトムシを受け取られた皆様、羽化した成虫を近所の林に放したりなどはしていませんか?

日本にもともといるのだから、同じ日本に放しても問題はないと思ってはいませんか?実はそれは大きな誤解です!!!!

放虫は絶対にしないで下さい

例えば、農工大のカブトムシと埼玉県のとある林にいるカブトムシとでは、種としては同じであっても、それぞれ異なった遺伝子構成をしています。

これは、それぞれ別々の異なった地域、あるいは環境に対して長年適応してきた結果であるからです。

では、農工大のカブトムシを埼玉県のとある林に放ったらどうなるでしょうか??

当然、埼玉県の林に、別の場所(農工大)に適応した遺伝子を持つ個体が移入することになりますから、仮に移入した個体がもといた個体と交配したら、結果として遺伝子汚染を引き起こしかねませんよね。

あまりここで詳しく語りすぎると場違いな気がするのでこの辺にしておきますが、とにかく放虫はいけません。

生き物を飼育する以上、その個体が死ぬまで面倒を見続ける覚悟がなければいけません。

それが出来ない人に、生き物を飼育する資格はないと僕は思います・・

今回、「狭いケースで死なせるのは可哀そうだから放した」という意見を頂きました。

心情としては分からなくはないのですが、それは責任を別の場所へと移しているだけに他なりません。

何が生き物にとって幸せかは分かりませんが、飼育者の責任は、なるべく快適な飼育環境を提供することにあるのではないかと、生き虫屋としては思うわけなのです。

今回カブトムシ幼虫を受け取られた皆様、どうぞ最後まで可愛がってあげてください。

話をもとに戻します。

続いて、コイルの採集個体から厳選!!

まずはコクワガタ。ただのコクワガタと侮るなかれ。


コクワガタ

なんとこの個体、50mmを超える大型個体!!!野外で50mmを超える個体は貴重です。

採集した当時は筆者も同じ場所にいたのですが、コイルと二人でしばらくニヤニヤしていたのを覚えています(キモい)

お次はこちら!ヒメオオクワガタです!!


ヒメオオクワガタ

標高1000m級の高地に生息する、中々お目にかかれないレアなクワガタムシで、クワガタ屋なら一度は見てみたい虫です。

オオクワガタに若干似ていなくはないですが、本種の方が明らかに脚が長く、前胸後端がくびれており判別は容易。

ヒメオオクワガタやミヤマクワガタなど、枝に付くことの多いクワガタムシは、ヒラタクワガタやオオクワガタなどの樹洞に住み着く種と比較して、脚が長い傾向があると思います。

前者は枝に器用にしがみつくのに、後者は狭い樹洞内部で移動するのに、それぞれ都合が良いのでしょう。

さらに、クワガタムシは夜行性のものが多いですが、ヒメオオクワガタは昼行性で、ヤナギの枝上で活動しているのが典型例。

ヒメオオクワガタの生息しているような高地では、真夏でも夜間は冷えるので、気温の上がる昼間でないと活動できないのでしょう。

また、ヒメオオクワガタは、平地のクワガタムシのシーズンが終わった初秋から活発に活動するのも面白いですね。親子でヒメオオハンターになりつつあるコイルからこれからも目が離せない。

最後に筆者の飼育個体!!

人気のヘラクレス(亜種リッキー)、筆者の一番のお気に入りのパラワンヒラタクワガタ、スマトラヒラタクワガタに加え、今年は何と生きた蛹を展示!!


ヘラクレスオオカブト(亜種リッキー)

ヘラクレスオオカブトは、中南米から南米大陸にかけて現状13の亜種に分類されています。亜種とは、分類の段階で種をさらに細かく分けたものと思って下さい。

国内で多く流通しているのは、原名亜種のhercules、次いでlichyiな気がします。

亜種リッキーは、コロンビアやエクアドル、ボリビアやペルーなど南米のロッキー山脈沿いに分布しています。

どちらもヘラクレスの中では大型になる亜種で、最大体長は180mmに迫ります。ちなみに今回展示した個体は153mmほど。

筆者の飼育技術がもっと高ければ、より大きな成虫になっていたでしょう。


パラワンヒラタクワガタ

パラワンヒラタは世界最大のヒラタクワがとしてクワガタ好きには有名です。フィリピンのパラワン島固有の亜種で、最大体長は110mmを超えます。

ちなみに今回展示した個体は102mmほど。筆者の飼育技術が(略)

パラワンヒラタや後述のスマトラヒラタは、ともにDorcusという属のtitanusという同じ種ですが、亜種レベルでの違いがあります。

具体的には、パラワンヒラタにはpalawanicus、スマトラヒラタにはyasuokaiという亜種名が付けられています。

ちなみに、農工大のある府中市にも生息しているヒラタクワガタも、種としてはパラワンやスマトラと同じで、亜種としては異なるという関係にあります。


スマトラヒラタクワガタ

スマトラヒラタはインドネシアのスマトラ島固有の亜種で、こちらも最大100mmを超える大型の亜種です。


アトラスオオカブト(亜種ヘスペルス)の蛹

アトラスオオカブトは東南アジアの大陸からフィリピン、インドネシアの島々に広く分布しており、複数の亜種に分類されています。

今回展示したのはアトラス最大の亜種hespersです。

「これ本物ですか?」「生きてますか?」と何回聞かれたことか(笑)

卵から自ら飼育した個体がチヤホヤされているのを見ると実に気分が良かったです。

では、標本の紹介に移りましょうか。

まずは1年生から!!

まずはクレインのブース(ブースが出来るレベルって凄い)



クレインの箱は3つ!まずはこちら



農工大府中キャンパス、農工大から近い高尾山、今年の合宿で訪れた伊豆大島、山梨県の大菩薩の昆虫がずらり。

高尾山のミヤマクワガタは70mmを超える大型の個体!!羨ましい(笑)

大菩薩のミヤマクワガタは歯型が高尾山のフジ型のものとは異なり、また違った格好良さがありますね。

伊豆大島のノコギリは大台の70mmには届かず。クレインが帰りの船で悔しがっていたのを思い出します。

続いては、「対馬の昆虫」箱です!



対馬の地理的位置に関する説明が付いており、昆虫を含め大陸系の生物が分布している要因を見る人に分かりやすく伝えています。

この箱の中で個人的に気になったのがキンオニクワガタ、トラフヒトリ、タッタカモクメシャチホコですね。

さらに、ガがメインの箱も!



ムラサキシタバを既に採集済みの様子。良いなあ・・

昆研部員は各々採集対象が限定されているイメージですが、クレインは様々な分類群を万遍なく集める稀有なタイプ。今後の活躍に期待大ですね!!

さらにクレインは写真撮影も手を抜かない。今回は白バック写真の展示とポストカードの販売も行いました。

大変好評だったようで、筆者も二枚買ってしまいました。

最近、一部部員で写真にまで相当なこだわりを持つ勢力が拡大している気がします。

筆者はお金がないのでいつも写真はいつもスマホです。

つづいて、ざえるの「蛾(蝶もいます)」箱!


合宿でガワ氏から譲ってもらったオナガミズアオやヤママユが入っていますね。

大型の蛾をメインでやっていくそうで、今後に期待です。

続いて、来年度の現役最高学年となる2年生の箱を紹介!!



まずは宇治金時の箱から。



チョウ屋の彼らしく、メインはチョウですね。海外にも積極的に遠征する頼もしい後輩の一人です。

続いて、カミキリ屋のガッキーの「コブ」箱!


念願のサドコブが採集出来たので、サドコブが主役の箱を作りました。コブの中では一番カッコいい虫です(独断と偏見)。byガッキー

コブとはコブヤハズカミキリを指し、箱の説明にある通り飛べません。また、コブの中にもいくつか種類がいます。

サドコブは本州のコブとは亜種関係にあります。

また、枯葉付きの枝を叩いて落として採集するいわゆるコブ叩きという、少し変わった採集方法で得られます。

枯葉にニスを塗って光沢を出し、葉の湿り気まで再現したライブ標本がかなりカッコいいですね!

続いて、次期会長のドロポンの箱です!!

まずは「日本産ハムシ(のほんの一部)」箱!



とっさに思いついた展示法でしたが、非常に評判で嬉しかったです。来年は亜科ごとに分けたうえで、食草にも絡めた展示を予定しています。byドロポン

ハムシは小さいため、よく観察しなければ魅力に気付きにくいと思いますが、この展示はそんな弱点を見事にカバーしています。

筆者自身、ハムシがこんなにも多様で美麗な種がいるのかと驚いてしまいました。

続いて、「テントウムシの小部屋」箱!



わかりやすさを最も意識した箱ですが、標本が少ないのと、目玉になるような虫がいないのとで中途半端な出来になってしまいました。反省。byドロポン

本当に分かりやすくて親切な箱です。本人のコメントにあるように、来年グレードアップするのでしょうか。

続いて、「アシナガメクラチビゴミムシ」箱!


案内して頂いたかっきー先輩に感謝です。来年度はチビゴミ採集にも手を出すかも??byドロポン

洞窟を這いまわる盲目の小さな昆虫です。これのために洞窟を探検するとは・・

ちなみに、当時使用したヘルメットも隣に展示していて面白かったです。

続いて「魅惑の夜高尾」箱!


1年生による展示がなかったので急遽作りました。例年入りがちな大型カミキリを出来るだけ排除しつつ、採っている人が少ないであろうゾウムシ、ゴミダマあたりを入れました。みみずく先輩からのガで華やかさが保たれています。byドロポン

例年高尾の昆虫箱と合宿箱を合同で作るのは1年生の仕事なのですが、今年は独立した箱が出されなかったためドロポンが作ってくれました。

これは結構残念だったので、来年の1年生には頑張ってもらいたいところ。

ちなみにガですが、中心左がアケビコノハ、右がムクゲコノハです。ともにヤガ科で下翅が綺麗で、普通種ながらお気に入りの一つです。

続いて、「日本産オトシブミ」箱です!



今年でかなりオトシブミが集まったので作りました。来年は日本産オトシブミコンプリートと、オトシブミの立体展脚にもこだわりたいです。byドロポン

チョッキリを見ると、新歓裏高尾を思い出してしまいます。時が経つのは早いなあ・・

続いて、「コメツキムシ」箱!



夏に某科博の昆虫展でやっていた展示法から着想を得てやってみたら、おもいのほか上手くできました。来年は種数を増やして再チャレンジ予定。byドロポン

コメツキムシって漢字で書くとこうなんですね・・勉強になります。

続いて、「インドネシア遠征の成果」箱!



春のインドネシア遠征で採集した虫を詰め込んだドリームboxです。連れて行っていただいたじょえる先輩に感謝です。Byドロポン


スラウェシ島、アンボン島での成果の様です。好きな虫を箱一杯に並べる幸せは格物ですね。

続いて、「ホウセキゾウムシ」箱です!



すみません、すべて購入品です・・。お客さんからは、「作り物みたい」という声を頂きました。美しさが伝わったようで良かったです。Byドロポン

良いじゃないか、購入品でも!言わなきゃお客さんにはばれないんだから!←

冗談はほどほどにして、自己採集した虫に思い入れが強くなるのは筆者も同じなので気持ちは分かります。自己採以外は論外!とまでは思いませんが。

以上、ドロポンは8つも箱を出して貢献してくれました。流石、次期会長ですね!!

なお今年度の会長である筆者は3箱。半分以下です。

でもまあ卵から飼育した生体の反響は大きかったから多少はね?

では、続いて我らが3年生の箱を紹介!!

まずはハラミーの「アリ・ハチ」箱!



ハチに関しては、自分が魅力的だと思うもの(偏見)をもっと採りたいですbyハラミー

ハラミーはこの3年間、各地でアリ・ハチを採集してきました。

セイボウなど、まだまだ採りたい虫がいる様子です。

ハラミーはアゲハ箱も出しました。



最近アゲハの仲間も積極的に集めていたハラミーらしいです。

続いて、ハラミー、コイル、筆者、ドロポンの採集品が入った

「日本産タマムシ(の一部)」箱!



ハラミーがリベンジに成功したアカヘリミドリタマムシや、6月の長野遠征で採集したエサキキンヘリタマムシ、

さらには御神木を発見したアオマダラタマムシ、ヤマトタマムシ、

コイルがお父さんと採集したクロタマムシやウバタマムシ、筆者が採集したアオタマムシなどが入っています。

ナカボソタマムシなど小さい種はドロポンの採集品です。

ハビロキンヘリタマムシは来年みんなでリベンジ出来たら良いですね。

続いて筆者の箱を3つ。

まずは「自己採チョウ」箱です。



チョウは本当に気に入った種しか採集していません。

そのため、3月の石垣島のオオゴマダラや、6月の福島県のミヤカラ、8月のアサギマダラが同居する不思議な箱になりました。

この記事を書いている時点で、3月の八重山遠征(計3回目)の計画が浮上しています・・(笑)

続いて、「外産オオヒラタ箱」です。



全て筆者の飼育個体です。こんな大きなクワガタムシを海外で樹採り出来たら凄いですね。

今回は5亜種しか入れられていませんが、オオヒラタの仲間Dorcus titanusは、国内外に25の亜種がいます。

いずれ100mmを超える特大個体のみで1箱作れたらなと思います。飼育の腕を上げなければ・・

そして、「国産ヤママユ科+α」箱です!



ヤママユガは色彩変異が豊富で個体数が多く、集めるのが楽しいです。後で気づきましたがヒメヤママユを入れ忘れました。

一番思い入れがあるのは、センターに配置したシンジュサンです。

昆研3年目にしてようやく出会えた個体です。

ちなみに左が奄美大島産、右が高尾で採集した個体。同じ亜種でも体色に変異がありますね。

続いて、はっぽーさいの怒涛のセミ箱!!

















国内外で3年間で集めた個体がずらり。

国内のセミは採集可能な種に限れば、ほとんどコンプ済みだとか。もう流石です。

最後に、OBさんの箱です。

まずはみむさん先輩の奇形ノコギリ箱!



野外で見つけたノコギリクワガタ♂の、奇形個体のみが入っています。

こういった見せ方も面白いですね。

そして、おなじくみむさん先輩の「マレーシアの昆虫」



海外の昆虫を見ていると自分も行ってみたくなりますがいつになることやら

続いて、じょえる先輩のチョウ箱!



実は今年はチョウの箱が少なかったため、部室に保管してあった箱をお借りしました。

部室の標本を展示用に並べたそうです。去年も出ていた箱ですね。

そして、かっきー先輩の箱が3つ。







マレーシアの昆虫や糞虫、さらにはエロマンガ島の昆虫や洞窟性の小さなゴミムシまで!

エロマンガ島の昆虫箱に入っているチョウの見せ方が斬新ですね。

これに関してかっきー先輩は「俺が考えた」と仰っていました。

今年の大昆虫展の展示は以上になります。

色々と準備が大変でしたが、始まってみればあっという間でした。

今年は特にトラブルもなく、たくさんの方々にお越しいただきました。

この1年間、会長らしいことをあまり出来なかったと思いますが、優しい先輩方や優秀な後輩に恵まれ、何とか展示が形になったと思います。

来年もきっと素晴らしい展示になるでしょう。

学祭が終わり、我々3年生は引退となりますが、素晴らしい後輩たちに負けないように、今後も積極的に活動していきたいと思います。

最後になりましたが、大昆虫展にお越しいただいた皆様、

OBの皆様、

そして現役部員のみんな、

本当にありがとうございました。

来年も大昆虫展をどうぞ宜しくお願い致します!!



THE END

by みみずく





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