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平地のウスタビ

(18.Ⅺ.2016)


参加者:いーぐる





冬も間近な時期に現れる大型蛾。

やままゆの超人気種 ウスタビガ !!

いろいろなやままゆを観察してきましたが、

ウスタビガはいまいち飛来のしかたがわかりません。

一気に飛ぶ期間がかなりシビアなようです。




AM4:00に自宅を出発。

車でポイントへ移動します。

数年前にウスタビガの空繭を見つけて以来、よく通っている場所です。

標高は110-140mなので、山地に比べると発生は遅いです。

早速街灯を見ると ・ ・ ・


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax

ウスタビガ

いました!

黄色の濃い個体で、とてもきれい!

擦れも少なく、新鮮な個体です。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax


周囲にもたくさん飛来していました。

落ち葉のような色合いと、特徴的な翅型。

このフォルムに魅せられた人は数多いるはず!


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax


地色の色彩、模様の濃淡、眼状紋の大きさや形など、

よく見ると非常に幅広い変異があります。

特に♂の地色の変異は豊富で、黄色から赤みの強い個体まで様々。

黒化型などの顕著な変異も観察することができます。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax


街灯にもペタペタくっついていました。

この1本の街灯周りに飛来したウスタビガを集めてみると ・ ・ ・


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax


! ! ! !

寒冷地では黒みを帯びてきますが、低標高地では黄色みの強い個体も混ざってきます。

色彩のバラエティは低標高地のほうが多いかもしれません。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax


別の街灯にも多数!

ウスタビガは、日を選んで飛ぶのではなく、羽化した日に飛ぶのかなと思っています。

一斉に羽化した日の夜に、多数観察できるのかもしれません。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax


最も集まりが良いのは街灯直下ですが、少し離れた場所に飛来する個体もいます。

止まる場所もいろいろ。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax


緑の葉に止まっていると、コントラストがとてもきれい。

そして、裏面も美しい ・ ・ ・ 。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax


今回は、非常に条件の良い日だったようで、多数の個体を観察することができました。

様々な色彩の個体を見ることができ、大満足でした!








・ ・ ・ と、ここまででは、例年通り。

ウスタビの生態の一端を垣間見るべく、今年はがんばりました。

ウスタビの発生動態を探るためには、♂の観察が指標になると思います。

飼育するとわかりますが、♂は羽化後すぐに飛び立つのに対し、♀は羽化場所に留まりコーリングを開始します。

♀が飛び立つのは、産卵場所を探すとき、数日のコーリングでも♂が飛来しないときが多いです。

♂の飛来を観察するために、AM4:00〜の観察を継続しました。


ウスタビガ埼玉県_Rhodinia fugax

ウスタビガ
( 2016.11.17 埼玉県 alt.109 m )


このポイントで観察を開始したのは11/17 〜。

毎年、この場所では11月前半くらいから発生が始まります。

今年もすでに発生が始まっていたようです。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax

ウスタビガ
( 2016.11.19 東京都 alt.133 m )


♂をメインに観察しましたが、♀もちらほら観察できました。

♂ほど目を惹く色彩変異はありませんが、模様の濃淡、眼状紋の形状、

翅の大きさなどに注目すると、意外に変異が多いことがわかります。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax

ウスタビガ
( 2016.11.21 東京都 alt.118 m )


ウスタビガの飛び方は蛾のそれとは思えません。

ものすごい推進力です。

ウスタビガの学名は Rhodinia fugax

ラテン語で "fugax" は 「速い、一瞬の」 等の意ですが、

この飛行行動から名付けられたのかもしれません。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax

ウスタビガ
( 2016.11.21 東京都 alt.133 m )


11/21もまあまあ集まりが良かったです。

擦れの少ないきれいな個体を観察できました。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax

ウスタビガ
( 2016.11.23 東京都 alt.133 m )


ハグルマヤママユを彷彿とさせる、今季一番の黄色い♂。

この日は風がかなり強かったのですが、しっかり飛来していました。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax

ウスタビガ
( 2016.11.23 東京都 alt.133 m )


♀は♂に比べると一回り大きく、遠目に見ても迫力があります。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax

ウスタビガ
( 2016.11.23 東京都 alt.134 m )


強風で枯れ葉が散ってしまったため、樹上高くに止まっている個体も、すぐに見つけられました。

この高さ、枯れ葉が残っていたら絶対に見つけられなかったです。。。


ウスタビガ東京都_Rhodinia fugax

ウスタビガ
( 2016.11.23 東京都 alt.133 m )


落ち葉の上に、ウスタビガのペアがいます。

♂と♀で色彩が大きく異なりますが、落ち葉色という点は一緒です!

この翌日、関東では稀な11月の積雪となりました。


ウスタビガ埼玉県_Rhodinia fugax

ウスタビガ
( 2016.12.1 埼玉県 alt.109 m )


今季のラスト個体は12/1に観察した個体になりました。

12月に入っても、大型蛾が観察できるのは非常におもしろいです。







今年の、このポイントでのウスタビガの発生をグラフにまとめました。




ウスタビガ観察記録_Rhodinia fugax


「気温」 は採集時の気温、

「最高気温」 は観察した日の前日の最高気温を示しています。




今回観察した期間では、11/18 がピークでした。

その後2回ほど小ピークがありますが、いずれのピークも、前日の最高気温が大きく影響しているようです。

夜間の気温が低くても、風が強くても、飛ぶときは飛んでいます。

♀の飛来が♂のピークのあとに来るのもおもしろいですね。




早朝4時からの連続観察は、結構キツイものがありましたが、おもしろいデータが取れたと思います。

何よりの成果は、ウスタビガの多彩な変異を見れたこと!

来年は、更なるバラエティを見てみたいものです!





By いーぐる


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