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新学期
-クロウスタビガに会いに-
(3-4.].2015)


参加者:がしゅん、キャプテンU、らいと





10月。

長かった農工大の夏休みもようやく終わり、新学期が始まります。



そして、秋も本格化しはじめるこの時期、無性に会いたくなるムシがいるのです。

その名も、クロウスタビガ

分布は局所的、発生期間は短いと、会うこと自体が難しいレアキャラです。



昨年は夏休みの終わりに行って1頭しか見れませんでしたが、
その数日後に先輩方が同地で多数観察したということで、今年は夏休みが終わってから行ってみました。







ポイントに行く前に、せっかく山奥に行くのだから、やっておきたいことが。

秋の定番(?)採集といえばコブ叩き!

コブ叩きはちゃんとやったことがないので一度やってみたかったのです。

というわけで、ちょっと寄り道してコブ叩きへ。



事前にdazai39先輩に教えていただいた情報をもとに、
キャプテンUにコブがいそうな場所を探してもらい、いざコブ叩き。

コブ叩くキャプテンU



車から降りて周辺の枯葉を叩いていきます。

僕がもたもた準備をしていると、



キャプテンU「落ちた!」



コブヤハズカミキリ



さっそくキャプテンUが探し当てたようです。

渋い色合いにごつごつしたフォルムがかっこいいカミキリです。

これに負けじと、僕も適当な枯葉を叩いていきます。



ガサガサガサガサ

・・・

バシバシバシバシ

・・・



ポロッ



お?



コブハサミムシ



落ちてきたのはコブヤハズカミキリではなくコブハサミムシでした。

いや、確かにコブだけども!コブだけども!!

その後も叩いて落ちてくるのはコブハサミムシばかり。

なんとも言えない気分に浸ってキャプテンUに様子を聞くと、さらにペアを追加したとのこと。

ぐぬぬぬぬ……

コブ(ヤハズカミキリ)は1か所にまとまっていることが多いらしいので、
試しにキャプテンUが叩いていたあたりを叩いてみると……





ポロッ





コブヤハズカミキリ



やりました!正真正銘コブヤハズカミキリです!

このあたりのコブは「タダコブ」と呼ばれる種類らしいです。コブの分類はよく知りませんが。




一方その頃、らいと はというと……



コブそっちのけでなにやら木の実を拾っていました。あとで食べるんだとか……。



ここで30分ほど採集した後、夕暮れが迫ってきたので、本日の本命採集、ライトトラップのポイントへ。





******





つきました。

途中で何度か道を間違いましたが、なんとか日没前にポイントに到着できました。

ライトトラップを準備していると、車のライトにヤママユ系の蛾が飛来。



あ、あれはク――



クスサン♂



クスサンでした。

ヤママユのなかでもかなり地味ではありますが、個体変異が非常におもしろい蛾です。



クスサンの登場に一時作業を中断しつつも、18時頃ライト点灯。






点灯してすぐに、周囲を小さな蛾が舞い始めます。

その舞いっぷりに、今晩のライトトラップへの期待が高まります。

マメノメイガ



ライトに虫が舞い始めたのを眺めつつの夕食をすませて待っていると、

夜の闇の彼方より、そこそこ大きい黄色い蛾が!

あれは間違いなく……と目で追っていると、あろうことか道のわきの茂みの中へ着地。

なんてことだ……。

あきらめきれないので、茂みをあさり、なんとか見つけ出しました。

クロウスタビガ♂



来ました!本日の主役!!

黒と黄の落ち着いた色合いがなんとも言えぬ気品を感じさせます!!

珍品だから、というのもあるのでしょうが、
このカラーリングはたとえ普通種だったとしても美しいと感じたことでしょう。



主役の登場に、男三人、ニヤニヤしながらの撮影会です。

手に乗っけてみたり……

横から撮ってみたり……

もふもふ!!かわいい!!!



さらに19時頃にもう一頭飛来。

クロウスタビガ♂



うおおぉぉぉ……ッ!!

開始1時間で2頭目!すごい!!

昨年は一晩中かかってようやく1頭お目にかかれた蛾を立て続けに見られ、テンションアゲアゲです。







そしてこのかわいさである。

草にしがみついて離さない感じがかわいすぎて男三人悶えていました。気持ち悪い





2頭目を十分に堪能したあとは、街灯巡りへ。

前日に観察に訪れていた いーぐる先輩から新たな街灯ポイントを聞いていたので、まずはそこを目指すことに。



道中、暗闇の中にぽつんと佇む公衆トイレがあり、用を足すついでに寄ってみると、
(寄ってみるついでに用を足したという方が正しい……?)

トイレの窓に特徴的な形の4つの紋を持つ蛾が。

網戸とガラス窓の間に挟まっていたようだったので、内側から救出しました。



クロウスタビガ♂



ボロですがこれまたクロウスタビガ。

男子トイレのほかに、男女共用の個室も探索。

まず目を引いたのが……



ヒメヤママユ♂



こちらのヒメヤママユ。

かなりきれいな個体です。ピンクがかった模様がかわいらしいです。

個人的に、ヒメヤママユはヤママユの中でも最もかわいいと思います。さすが姫。

さらに、トイレのパイプの影にまたしてもあの方が。



クロウスタビガ♂



なんというか……トイレって素晴らしいですね(笑)



トイレの中に閉じ込められたままなのはかわいそうなので、外にだしてあげました。



やままゆファンには堪らないツーショット





トイレを後にし、いーぐる先輩おすすめスポットに向かう途中の街灯でも複数のクロウスタビガが観察できました。



 




近くにススキ的な穂のある草が生えていたのでやらせ生態写真を。



すごく…秋っぽいです……。





******





そんなこんなでドライブを続け、目的地到着。

寒っ!!

いーぐる先輩曰く、ここはライトトラップ地点よりも標高を上げた場所らしいのですが、すごく寒かったです。

すぐさま車に戻りたい衝動に駆られつつ街灯を見上げると……



いました!クロウスタビ!!

わかりにくいですが、ライトの真下にいるのがクロウスタビ、その左がクスサンです。

周りを探してみると、ほかにもクロウスタビが。



 





他のに比べて若干黒面積が多い個体も。







さらには……



クロウスタビガ♀



♀の個体は初めて見ました!!

♀は、触角が棒状になっているほか、なんとなく翅が♂に比べ丸っこいです。



 





結局、この街灯だけで6頭確認しました。幸せ!



クロウスタビのほかにも、ヒメヤママユやエゾベニシタバが見られました。



 

ヒメヤママユ♂



エゾベニシタバ



エゾベニシタバは本州では珍しいらしく、この種を採ることがカトカラ初心者卒業への第一歩らしいです。

カトカラはあまり採ってませんでしたが、期せずして良いものが見られました。



良い蛾をたくさん見て満足しましたが、あまりに寒いので一気に標高を下げ、
ライトトラップを確認しに戻りましたが、発電機は止まってしまっていました。

このあともどうも発電機の調子が悪かったので、ライトトラップはあきらめました。

すでに街灯で満足してきちゃったので……笑



そのあとは、昨年も訪れたトンネル状の建物を探索。

ここでは、クロウスタビガ1頭のほか、トンネルのあちこちにクスサンがとまっていました。

クロウスタビガ♂



 



 

クスサン



さらにはこんなものも。

ミヤマカラスアゲハ(死骸)



クロウスタビガと同じくキハダを食草とする日本最美のアゲハです。

幼虫の食草が同じなので、生息域が被ることがあります。

クロウスタビもミヤカラもいるなんていい場所すぎます。ここ。



その後、昨年クロウスタビガを見たポイントへ行くもクロウスタビは得られず。

目新しい虫は、シロシタバがいたくらいでした。

シロシタバ





こうして街灯巡りをしているうちに、気づけばもう2時。

寒さと眠さと運転疲れが深刻化してきたので、市街地でコンビニに寄り、
肉まんを食べて暖をとったあと、しばし仮眠をとりました。





******





短い仮眠から醒め、元気をわずかに取り戻したところで運転再開。

と、その前に、らいととキャプテンUがそれぞれゴホンダイコクコガネの♂と♀を発見。

 

ゴホンダイコクコガネ(左:♂ 右:♀)



ゴホンダイコクは初めて見たのですが、この虫、思ってたよりかなり小さいんですね……。

こちらのコンビニは普段からゴホンダイコクがよく来るようで、周りにたくさんの死骸が蜘蛛の巣にひっかかっていました。





再びの街灯巡りでは、あまりの寒さに懲りたので
標高の低いところをのんびりドライブしましたが、クロウスタビの追加はなし。

成果といえるのは、どこかラヴロマンスを感じるクスサンの交尾と、エゾベニシタバくらいだったでしょうか。

 





そしてついに力尽き、3時半頃に全員就寝となりました。

Zzz...





******





朝。

ライトトラップをかたずけたあと、出発まで時間がとれそうだったので、
最後に、昨晩トンネル内に放置してきたクロウスタビガを拝みに行きました。





この一晩を通して、クロウスタビはあまり活発には動かないことを感じていたのですが、
やはり同じ場所にいました。

今回、多くのクロウスタビガに会えたことに感謝しつつ、
この個体をトンネルの外に出してあげてから帰路につきましたとさ。










というわけで、新学期開始早々に行ったクロウスタビガの採集記でした。

本文中では触れませんでしたが、実はこの採集、僕にとって初めての長距離運転だったのです。

我が家の車の保険の関係上仕方ないのですが、一人で往復500kmは疲れました……。

でもこれで長距離運転に自信がついたので、これからどんどん行きたいところへ採集にいけますw



さて、今回の採集で見られたクロウスタビガの数は合計14頭!

昨年の1頭に比べればとんでもない数です!!

と、思っていたのですが……。

この数日後、我らがヤママユの権威 いーぐる大先輩は、これをはるかに上回るクロウスタビ祭りを目撃したようです。
(昆研ブログ「本気の秋〜クロウスタビガ〜」へ)

羨ましいです……。採集記の更新が待たれます。


来年はぜひ、僕もシーズン中に複数回この場所に訪れてみたいものです。





******





今回の採集で、クロウスタビガのほかにも、クスサンやヒメヤママユといった秋のヤママユたちを楽しむことができました。


最後に、今回僕が撮った秋のヤママユ三銃士の渾身の顔写真をお楽しみください。



 

















それではっ!





By がしゅん


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