(4.X.2015)
参加者:がしゅん、キャプテンU、たかも酢
パピリスト【papilist】
《名》アゲハ愛好家のこと。
papilio(アゲハチョウ属)と-ist(-する人)をあわせた語。
パピラー(papiler)とも。
おそらくこのような言葉は存在しない。
アゲハチョウ。
オオムラサキと最後まで国蝶の座を争ったというこの蝶は、
子供たちに理科の教材として親しまれ、古くは神として崇められ。
日本人にとって、とても身近な存在であります。
僕に昆虫の面白さを教えてくれたのもアゲハ様でした。幼虫かわゆす///
その鮮やかな色彩、特徴的な尾状突起、
そして素早く飛翔する姿を思い浮かべるのは至極簡単。
しかし
世の中には、アゲハっぽくないアゲハというのもいるのです。
例えば、ウスバシロチョウ。
名前がすでにアゲハですらないこのアゲハは、
ゆらゆらと舞い、翅は白く、尾状突起もなく、その姿はまさにシロチョウ類のよう。
アゲハの中でもなかなかの変わり者なのです。
こんな変わり種、パピリストとして見に行かないでいられるはずがない!
しかも、みんな大好き高尾には多くの個体が生息しているという!
これは行くしかない!!
というわけで、GWのお休みを利用して、裏高尾へウスバシロチョウ求めて行ってきました。
もちろん、ウスバシロのほかにもミヤマカラスアゲハやカラスアゲハなど、魅惑の黒系アゲハも狙っていきます。
うれしいことに、キャプテンUとたかも酢も一緒に来てくれました。
朝9時。
高尾駅に集合し、裏高尾方面に行くバスに乗るべくバス停に並んだのですが、
やはりGWということで、観光客がぞろぞろ。長蛇の列です。
あまりの人の多さに、バスが3台同時運行してました。
(これは採集どころじゃないかもしれないぞ……)
と思いつつ、満員のバスに揺られ、いざ出発です。
******
着きました。
僕たちの降りたバス停で他のお客さんたちもぞろぞろ降りてきます。
うん、これは網振れない!今日は写真だけだな!
と、半ば諦め目的の林道に向かったのですが、
どうやら皆さん、バス停に近いもう一つの林道の方に流れたらしく、
僕たちの行きたい林道には登山客が全然いません。
これなら網を振っても迷惑にならなそうです。
そんなことを思いつつ林道の入り口にくると、そこに何やらカエデの木が。
カミキリ大好きキャプテンU、さっそくスウィーピングをはじめます。
カエデを見ると掬いたくなる系男子 キャプテンU
何度も掬いますが、カミキリは入らず、ハナムグリやジョウカイの仲間ばかりのようでした。
スウィーピングは止め、なにかいないか辺りに気を配りながら林道に入っていきます。
ヒゲコメツキ コアオハナムグリ
林道に入ってしばらくは針葉樹林が続き、日当たりがあまり良くなく、
開けた場所もないからかアゲハの類は見られません。
それでも、少し日当たりの良い水辺には美しいトンボの姿が。
カワトンボ属のトンボ
メタリックな輝きを持つ美しいトンボです。
カワトンボ属はニホンカワトンボとアサヒナカワトンボの2種らしいのですが、正直ちがいがよくわからない……
調べてみた結果、微妙な違いですが翅の長さで見るのが一番わかりやすそうでした。
だが写真が良くない……。
トンボも可愛らしい顔をしているものです。
つぶらな瞳…//////
******
しばらく進むと、広葉樹が増えてきて、所々開けて日当たりのいい場所が増えてきました。
実に素晴らしい情景であります。
キャプテンU曰く、「ぼく○つの世界」。
そこはかとなく郷愁漂う情景に見蕩れていると、
ひらり。
目の前を黒い影が横切りました。
黒いアゲハです!ミヤカラ?カラス?オナガ?
突如あらわれたアゲハ相手に3人で網を構え襲い掛かります。
が。
スカッ
スカッ
スカッ
速い……ッ!!
……3人抜きされました。
大きい網を持った大学生3人掛かりでも捕えられないとは……
やはりアゲハのスピードは馬鹿にできません。
弄ばれてるよ〜(キャプテンU談)
この辺りはチョウがよく通るらしく、その後も時々現れる黒いアゲハめがけて網を振り回します。
そして、たかも酢が怒涛の勢いで追いかけネットイン!
オナガアゲハ
その名の通り尾状突起が長く、さらに全体的にシャープでカッコいいアゲハです。
僕もなんとかキャッチできました。
オナガアゲハ
黒系のアゲハはジャコウアゲハの♂に擬態しているといわれますが、
オナガは尾状突起が長いからか、特にジャコウに似ている気がします。
アゲハの他にも、コミスジやサカハチチョウなどのチョウが見られました。
コミスジ サカハチチョウ
角度が同じなのはたまたまです。撮影者が違うし(笑)。
******
しばらく進むと、また開けた場所が現れました。
ここには少し水場があり、チョウが給水に来るかも……
と、思いつつ、僕はヒョコヒョコと健気に飛ぶヒゲナガガを見つけ、
カメラに収めようとひとり腰を低くしてストーカーのごとく追いかけまわしておりました。
なかなか止まってくれないヒゲナガガの撮影に四苦八苦していると、
背後から たかも酢 の「あっ」という声。
その声に振り向くと……
ウスバシロチョウ
ウスバシロチョウを捕まえたようです。
また先を越されてしまった……
やはり浮気はよくないようです。結局ヒゲナガガは撮れなかったし……
さて、ウスバシロチョウ、やはり綺麗ですね〜
実物を見たのは初めてですが、透き通った翅がどことなく儚げな印象を与えます。
図鑑ではこの透け具合は感じられませんから、実物ならではの美しさです。
ここで、ウスバシロ採って上機嫌の鱗翅屋たかも酢から、カミキリ屋キャプテンUに質問。
たかも酢「キャプU、ウスバシロチョウって何の仲間だと思う?」
キャプU「え…?モンシロチョウとかの仲間じゃないの……?」
期待通りの解答ありがとうございます!!
前述の通り、ウスバシロチョウはアゲハの仲間です。
ホント、名前もビジュアルも紛らわしいですね〜
本当に紛らわしいので、最近はウスバアゲハと呼ぶことも多いらしいです。
******
林道をさらに奥の方へ。
道中、たかも酢はハンミョウを捕まえたようです。
ニワハンミョウ
かっこいい!
たかも酢によれば、「なんか網に付いてた」とのこと。
うらやましいっす……
キャプテンUもおもしろい虫を発見!
シリジロヒゲナガゾウムシ
触角が特徴的なゾウムシです。
触角だけですでにチャーミングなゾウムシですが、このコには更なるチャームポイントが。
おしりに白いハートマーク!!
あざといやつめ……
さらに、キャプテンUは正面から向かってきたアゲハを華麗にキャッチ!!
カラスアゲハ
「日本最美」と謳われるミヤマカラスアゲハに一歩及ばないものの、かなり美しいチョウです。
翅を開いた写真はありませんが、チラッと覗く青鱗粉がとても美しいですね。
これぞチラリズム!!
いいなぁ……
水辺には相変わらずトンボが舞っていました。
アサヒナカワトンボ
今度はアサヒナカワトンボのはずです。
(あまり自信はありませんが……)
アサヒナカワトンボの方が、ニホンカワトンボより身体に対する翅の長さが短い
とのことなので、ネット上で両者の写真と比較した結果アサヒナカワトンボと同定しました。
******
さらに奥に進んでいくと、大きく開けた原っぱのような場所に出ました。
かつてキャンプ場として使われていたようです。
昨年、新歓で同じ場所に来たときは材置場があり、そこでスギカミキリなんかを採ったものですが、
今年は材が置いてありませんでした。
少し楽しみにしていたので残念ですが、無い物は仕方がないです。
さて、ここで若干曇ってきて、風が出てきました。
少し前からチョウの姿が見当たらなってきていたので、ここで引き返すか、もう少し奥に進むか……
数秒の会議の末にもう少し奥に進むことに。
とはいえ、先に進んでもこれといった虫は見つからず。
キャプテンUもカエデを見つけるたびに掬っていきますが何も入らない様子。
少し道が広くなった場所で止まり、時刻もお昼時になっていたのでキャンプ場跡まで引き返すことに。
が、その前に怪しい毛虫を発見。
マメドクガ(幼虫)
ものすごいビジュアルです……
もはや怪獣のよう。
一度見つけてしまうと不思議なもので、周りでたくさん見つかりました。
茂みの中から唐突に見つけるとドキッとするので、心臓に悪い気がします……
キャンプ場跡に戻る間に、いくつか面白い虫を見つけました。
アトボシハムシ
パンダ柄のかわいいハムシです。
キイロヒゲナガオトシブミ
こちらの2匹、首の長さが全然違いますが、同種なんだそうです。
左が♂で右が♀とのこと。雌雄で首の長さが異なるようです。
さらに、たかも酢がきれいな蛾を発見!
アシブトチズモンアオシャク
「地図紋」の名の通り、地図のような模様がきれいな蛾です。
この蛾、道の真ん中に落ちていたのですが、僕もキャプテンUも気付きませんでした。
しかし、たかも酢だけがこの中からこの蛾を見つけたのです。
ものすごい観察眼……見習いたいものです。
******
キャンプ場跡に戻ったら、お昼御飯です。
山の緑を眺めながら野沢菜おかか昆布なるごった煮感あふれるおにぎりをパクパクと食べていると、
原っぱを舞う小さな白いチョウが。
小さいし、あれはシロチョウだろうな……
と思いつつも、ウスバシロであることに期待し、網をもって捕獲。
ツマキチョウ
う〜ん…やっぱり……。
いや、初めて見たからうれしいけども…ウスバシロ……
悶々としていると、視界の端にまた白いチョウが。
あれ…?今度はちょっと大きいし飛ぶのが遅いぞ……?
これは!?今度こそ!
ウスバシロチョウ
やりました!
ようやく自分で採れました……
実は、「高尾にはたくさんいる」というわりに、たかも酢が採った個体しか見ておらず、
少々落胆していたので、とりあえずは安心しました。
同じ場所でキャプテンUもウスバシロをゲット!
彼の採ったウスバシロには、交尾栓がついていました。
ウスバシロチョウの♂は、♀と交尾したあと、♀に交尾栓をつけて他の♂と交尾できないようにするのです。
昼食を済ませ、全員ウスバシロチョウが採れて満足したところで林道の入り口へと引き返していきます。
テクテク歩いていたわけですが、曇ってきていたからか、午前中に歩いてきたときに比べ、チョウやトンボが全然飛んでいません。
あっという間に、たかも酢が最初にウスバシロを採った場所まで戻ってきました。
ここには白い花が咲いている木があり、キャプテンUが花を掬うのをぼぉーっと眺めていると、
キャプテンUがまさに掬おうとした花の奥に青いチョウらしき姿が。
え?
あれって……
キャプテンUは全然気づいていない様子。
ちょっと待ってちょっと待ってキャプテンU〜!
キャプテンUに花を掬うのを待ってもらい、しっかり確認。
間違いない。アオバセセリです。
まさか会えるとは思っていなかったので、突然の出現にあたふたと網をかぶせますが、
あれ、いない……
どこ行った?と周りをキョロキョロしていると、僕の真横をブンッと たかも酢 が一振り。
やったか……?
アオバセセリ
さすがは たかも酢、しっかりととらえていました。
セセリチョウの仲間は茶色で一見地味な種類がほとんどですが、
アオバセセリはセセリにしては珍しく青く輝く美しい翅を持っています。
珍しいかどうかはよく知りませんが、僕は図鑑でしか見たことがなく、
一度会ってみたい虫の筆頭だったので突然の出会いに感激でした。
正直、ウスバシロチョウより嬉しいかも(ぇ
その後、再び歩き始めて、林道入り口まで戻ります。
やはり午前中に比べて飛んでいる虫の数も少なく、予定よりもかなり早く入り口まで戻ってきてしまいました。
時刻は14:00頃。
15:30頃に発車するバスに乗る予定だったので、また林道に入っていくには微妙な時間。
疲れていたこともあり、林道入り口にある広場でのんびりすることに。
なんとなーく広場をぶらぶらしていると、あたりに白いチョウが複数ひらひらしているのに気付きました。
あれ、ウスバシロじゃん……
林道では全然いませんでしたが、ここの広場はたくさん舞っていました。
思い返せば、僕たち3人がウスバシロを採ったのはすべて開けた場所。
林道のような場所よりも、大きく開けた広場のような場所を好むのでしょうか。
それなりの数が飛んでいましたが、全員1頭採って満足していたので、
網は置いて、しばし生態写真の撮影に臨みます。
ウスバシロチョウ
やっぱりカエデの魅力からは逃れられないキャプテンU
太陽礼拝のポーズをとる たかも酢
(意訳:植木の上にいるウスバシロチョウにカメラをむける たかも酢)
******
しばらく広場でゆっくりしましたが、バスの時間までまだ時間があったので、
今年の新歓で行ったムカシトンボのポイントを見に行くことに。
しかし、時間が遅かったのでしょう、ムカシトンボを見ることはできませんでした。
それは別によかったのですが、思いのほか時間を使いすぎてしまい、バス停まで早足で下山するハメになりました……
疲れた(-_-;)
なんとか発車時間に間に合い、バスに揺られて高尾駅へと向かうのでした。
いやはや、良い採集でした。
密かに狙っていたミヤカラは見ることができなかったものの、
目標としていたウスバシロチョウは全員とることができましたし、
オナガアゲハにカラスアゲハといった黒系アゲハにまさかのアオバセセリ。
会いたかったチョウに多く会えてとてもよかったです。
また、新緑に囲まれた林道を歩くのはとても気持ちの良いもので、
昆虫採集としてではなく、ハイキングとしても十分楽しむことができました。
裏高尾、良い場所です。
さて……ウスバシロチョウには会ったし、次は何を探しに行こうかな?
都内で見られるアゲハだったら、やっぱり「日本最美」ミヤカマカラスアゲハ春型かなぁ〜
今回見られなかったし。
うきうき、わくわく
春、パピリストのアゲハ採集への 妄想 情熱はまだしばらく続きそうです。
それではっ!
By がしゅん
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