(23.IV.2015)
参加者:がしゅん、キャプテンU、すいみ〜、たかも酢、らいと
冬の終わりとともにあらわれ、生命の季節の訪れを告げて、
流星のように消えてゆく生き物たちがいる。
森の陽だまりには、カタクリや二輪草など、
スプリング・エフェメラル(春の妖精たち)と呼ばれる可憐な花々が咲き乱れ、
陽が沈んだ森には、春の三大蛾と呼ばれる、
大ぶりで優美な夜の蝶たちが人知れず舞い踊る。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
椿が堕ち、梅が散り、桜が舞う。
機は熟した。
水曜放課後、たまたま部室に居た すいみ〜氏他3人の部員に声をかけ、翌日夜の高尾山行きを決定。
高尾山には、春の三大蛾のうち、オオシモフリスズメ以外の残りの2種
――イボタガと、エゾヨツメ――が棲息していて、灯火に飛んでくるところを観察できるらしい。
金曜日は1限から講義だけど、山上オールを敢行してでも逢ってやるぞ!待ってろよ〜!
そして当日、曇り空。夜間の気温も10℃超え。
その上いーぐる先輩にも良い日だとお墨付きを頂いた。これは期待できそうだぞ・・・いざ、出陣!
高尾山に到着。日が沈んでしばらくすると、灯火にまとわり飛ぶ小蛾が徐々に増えてきた・・・!
歩いていると、さっそく路上に何かが横たわっているのを発見。
マイマイカブリ(瀕死)
森の地面を歩き回り、カタツムリの殻に長い首を突っ込んで捕食する。
でんでんむしむしかたつむり おまえのあたまはどこにある(意味深)
飛べないので谷や川を超えて繁殖相手を探すことができない。
その結果、地域ごとに色彩のバリエーション豊かな亜種に分化している。
時期的に冬眠明けかな?
昨夏、同じ場所でオオゴキブリの死骸も見たから、近くに良い朽木でも転がってるのかも
いきなりの大物、しかも珍品。これは幸先いいんじゃないかな!
妖しい雰囲気・・・
曇りだと月の光が遮られて、灯火に虫が集まりやすくなる
「月が綺麗ですね」は虫屋にとっては"I love you"じゃなくて"Oh,my god..."なんだよな
ウスギヌカギバ
変わった翅の模様は、鳥の糞に擬態していて、捕食を逃れているんだとか。
でも上には上がいて、近縁種のモンウスギヌカギバに至っては、糞にたかる小バエまで再現しているという手の込みよう。いつか見てみたいなぁ
ウスギヌカギバを観察していると、他のみんなのいる灯のもとから「いたよぉ〜」と呼ぶ声が。
何だろう?声のトーン落ち着いてるしそんなすごい虫でもなさs
_人人人人人人人人_
> まさかの本命 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
んぬおおおおおおおお?!!!!!
えーっ、ちょっ、えええええっ・・・!!
叫びたい・・・!!!けれども声が迷惑になりかねない・・・僅かに残った理性でボリュームを絞り、抑え気味の奇声歓声を上げる。
エゾヨツメ。寒冷地の雑木林に多い、小柄なヤママユガ。
放っておくと翅を閉じてしまうので、指でそっと開いて撮影。
飛んで逃げるのはあまり得意ではないみたい。
それにしても・・・なんて綺麗な蒼・・・
角度によって輝き方が変わる。(この写真は別の子)
さらに歩いていくと、目の前をよちよち横切る何かが。
ヒメツチハンミョウ(?)
身体が軟らかく動きものろいけど、毒液(カンタリジン)を分泌して捕食者を撃退する。
この毒液、猛毒だけど昔は育毛剤や媚薬としても使われたんだとか・・・
調べてみると生活史も面白い(幼虫はハナバチに飛び乗り、巣に潜入してハチの卵と花の蜜を食べてしまう)。
瑠璃色に輝く奇怪な姿。ドラマチックな生態。不思議な魅力のある虫だなぁ。
スギカミキリ
春の夜に杉の幹を這いまわるカミキリ。珍品らしいけど、発見場所では割と多かったな
杉林を探しても見つからないのに、市街地の公園にひょっこり現れたりする、神出鬼没なやつらしい。
視界のすみっこに、石垣をすごいスピードで駆け下りる影が!
コアシダカグモ
高尾山にはたくさん居る大型のクモ。対ゴキブリ最終兵器「アシダカ軍曹」の親戚筋。
精緻な斑紋の散らばるしなやかな肢体。
獲物を一瞬で抑え込む鮮やかなハンティングの腕前。
ネコ科の猛獣のように鋭く、美しい。
柵の間に張られたクモの円い網。この色と形は・・・はっ、まさか!
アオオニグモ
透き通るような翠、やさしい青白色・・・
春の野山に降臨する女神さま
お会いできて・・・光栄です・・・はぁぁ・・・
ハネナガブドウスズメ
21時前ごろから登場。幼虫はブドウの仲間につく。
桜の花びらと相まって和菓子みたいでおいしそうですね?!
蛾は種類によって灯に飛んでくる時間帯(つまり活動時間)が違う。捕食者を避けるためなのかな?
その他、こんな虫たちも。
マキバサシガメの一種
他の虫に針のような口を突き刺して体液を吸うカメムシの仲間。
前足が太い。カマキリのように獲物を挟んで捕食するらしい。
ヒゲナガオトシブミ(左:♂ 右:♀)
生葉を巻いて揺籃を作り、中に卵を産む。
孵化した幼虫は、住居兼食料の揺籃の中で育つ。
リアルおかしのいえ。しかも中に悪い魔女も居ない。想像すると羨ましいなぁ。
右の画像は、拾った揺籃から成虫が出てきたところ。
気づいた人もいるかもしれないけど、雌雄で頭と触角の長さが違う。
なぜなら、♂同士が、首と触角をめいっぱい伸ばして「背比べ」をして争う習性があるから。
ウスチャジョウカイ
カミキリ似だけど、草花の上を歩き回って出会った虫を捕食する肉食系。
ちょうど繁殖シーズンみたいで、そこらじゅうに溢れかえっていた。
おい。
とある石柱には何故か10ペアも集まって交尾していた・・・(さすがにちょっと引いた笑)
蛾、蛾、蛾。
蛾好きにはうれしい季節になってきました!!たまんねえなこりゃ
あざとい
残念ながら、キャプテンU氏とは途中でお別れ。
残りの4人は、一通り灯火を見回ってからごはん休憩。
これからどうしようかな。
本日のメインターゲットvol.2、イボタガ様をまだ拝めてな・・・っってなんかデカいの飛んでる?!
食べているパンをくわえたまま素早く虫網を掴み、おぼろげに宙を舞う影を振りぬく。
消えた。
いや、消した。
網をそっと地面に置き、おそるおそる中を確認すると・・・
イボタガ
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛っ っ !!!」
食べかけのさるぐつわのおかげでなんとか通報されずに済んだ。
羽化したてなのか、擦れや剥げがほとんどない。
もはや後光が射していらっしゃる・・・ため息しか出てこない。
鱗翅目に美麗種は数あれど、茶系統の落ち着いた色使いだけでこんなにも見事な和風美を体現しているなんて・・・格の違いとでも言えばよいのだろうか・・・
フクロウに擬態しているともいわれる模様の美しさは、日本の生物界全体で見ても指折りなんじゃないかな
かつては東京の平野部にも普通に居たらしいけれど、いまや限られた場所でしか逢うことができない。
深夜に活動するはずのイボタガ様が9時台にお見えになられるとは。
徹夜上等!と張り切っていた自分もこの成果には大満足。
みんなで仲良く下山しましたとさ。
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