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奥多摩のコブヤハズ
(5.IX.2014)
参加者:かっきー
ゲスト:Lynx(筑波大)





9月上旬。トラカミキリの大様、オオトラのシーズン。
筑波大のLynxくんと一緒にオオトラを狙いに行こうという話になり、
決行日は週間予報で最も天気の良さそうな5日に決定。
しかし、日を追うにつれて天気予報は悪くなる一方。
オオトラ1本狙いだとかなり厳しい戦いが予想されるため、
採集地はオオトラの生息を確認しており、他のカミキリ狙いに逃げることもできる奥多摩へ。
天気が悪ければコブ叩きに転戦することにしよう。
筆者は奥多摩でのコブ叩きは2年前から連戦連敗、フジもセダカも未だ1頭も手にしていない。
比較的個体数の少ないエリアと思われるが、流石にそろそろ落としたいところである。


貸切の始発バスで登山口へ向かう。
街灯下では多くのミヤマクワガタが轢死体となっていたが、生きた♂も2頭採集できた。
9月に入ってもまだ多くの個体が活動しているようだ。


(帰宅後に撮影)

天気は一応晴れてはいるものの、雲が多くオオトラ狙いは苦戦が予想される。
登山口付近にLynxくんが持参した臭豆腐を仕掛け、帰り際に糞虫が来ていることを期待する。
休みながら荒れた急勾配の登山道を登っているうちに日は完全に陰ってしまい、
尾根を目指しつつ斜面で枯葉を叩くことにする。


登山道沿いにある小さな枯葉つきの枝を叩いていくが、一向にコブが落ちる気配はない。
落ちてくる甲虫はヘリアカアリモドキばかりである。
1頭だけ、初採集のゴイシモモブトカミキリが落ちてきた。




しばらく進むと、ミズナラの大きな倒木があった。
多くの枯葉を付けており、周囲にも複数の樹種の枯葉つきの枝がたくさん落ちている。
倒れる際に周囲の木の枝を巻き込んだのだろうか。
ここ最近の天候不順の影響か、湿り気も十分にある。これは期待できそうだ。



かなり規模が大きいので、片っ端から二人で叩きはじめる。
まずはナカジロサビカミキリ。過去に奥多摩で採集しているので、Lynxくんに押し付け差し上げる。
その後、しばらく叩いていると、Lynxくんから「採れました」という声が。




イワワキセダカコブヤハズカミキリの♀だ。
昆研の先輩方も過去に採っているポイントだが、
去年まで全く採れなかった自分には、ここで採れるというのが信じられなかった。
やはり、ここにいるのか。

コブ叩きは初めてという同行者に先に採られてしまったので、俄然やる気に火が付いた。
あっちを叩き、こっちを叩く。徹底的に叩く。
そして、ついに叩き網に何かが落ちる。長い触角が見える。





イワワキセダカコブヤハズカミキリ、極小の♂だった。
やっと出会うことができた。
セダカを採るのは2年前の対馬以来。
帰宅後に体長を計測すると、ぴったり10mm。最小クラスの個体と思われる。
1頭採れると続くもので、少し叩く場所を変えると♀と中型の♂が立て続けに落ちた。



小雨が降り出す中叩き続けるが、その後この場所で追加はなかった。
多くはないはずの奥多摩のセダカを、2人合わせて1ヵ所で4頭も採集できたのは十分な成果だろう。




標高を上げつつ、セダカの追加とまだ見ぬ奥多摩のフジコブヤハズを狙いに行くことにする。
登山道に倒れている巨大な倒木を避けるため、登山道を逸れて少しだけ急斜面を登った。
直後、この判断を後悔することになる。
斜面で少し足を滑らせ、右手をついた瞬間、「ゴキッ」という音と共に腕が曲がってはいけない方向に曲がった。
右肩に激痛が走る。肩が外れたか。
肩を庇って座り込むと、幸いすぐに軽く音を立てて肩の関節がはまった感覚があった。
結構痛むので、先行していたLynxくんを呼び止め、しばらく休むことにする。
休んでいる間、オオセンチコガネが近くに飛来するのが見えたので、Lynxくんに採集してもらった。
30分ほど休むと行動に支障はない程度まで回復したので、尾根を目指す。
ただ、右手で叩き棒を振ると肩が痛むので、網と棒を持ち替えることにした。


尾根に出て、枯葉を見つけるたびに叩いていく。
多くの枯葉を付けたカエデの枝があったが、乾燥していたのであまり期待せずに叩いたところ、1発で落ちた。



本日3頭目のセダカ♀。♂も含めると5頭目だ。
先輩方の過去の採集記を見ても、一日に1〜2頭程度しか採れていないようなのに。
残念ながら、ここで追加は得られなかった。


道沿いに落ちている枯葉を叩きながら、フジコブが記録されているエリアを目指して登山道を登っていく。
途中、Lynxくんが栗の枯葉からフジコブの♀をゲット。しかし、少し体高が高いように見える。



セダカのポイントに近いし、まさかハイブリッド…?などと話しながら、モミの多い場所に出た。
ダメ元で渦巻き模様の残るモミを見て回るが、やはりこの天気では無理だろう。
適当なところで切り上げ、コブ叩きに戻る。

少し歩くと、枯葉が多い広場に出た。
手分けして叩いていくが、何故か全くコブヤハズが落ちる気配はない。
環境はさっき採った場所よりも明らかに良さそうなのに、よく分からない虫だ。
1時間ほど探索した頃だろうか、ここは諦めることにして、降りながら追加を狙うことにする。

降りていく途中、数枚の枯葉がついたミズナラの落ち枝からコブが落ちる。



フジコブヤハズカミキリ、♀である。
さっきLynxくんが採ったものよりも体高は低いようだ。
これで1日で2種の奥多摩のコブを得られた。あとはフジコブの♂が欲しいところ。
しばらく2人とも追加できないまま降りていくが、 5頭目のセダカが得られた場所に近づく頃、やっと追加できた。



今度はフジコブヤハズカミキリの♂だ。
これも少し体高が高いように見えるが、セダカの血が入っているのか、個体変異の範疇なのか。
セダカが得られた場所の近く、と述べたが、今日得られたセダカは全て尾根の片側で、
フジは3頭とも尾根沿いとはいえセダカとは反対側で得られている。
もしかすると、この辺りでは尾根を挟んでセダカとフジが住み分けているのかもしれない。

その後は二人とも追加が得られずに終了。
Lynxくんが仕掛けた臭豆腐には、ビロウドヒラタシデムシがたくさん集まっていた。
オオセンチが狙いだったそうだが、オオセンチは来ずにセンチコガネが1頭来ていただけ。
1頭だけとはいえ、上でオオセンチが採れていてよかった。

山を降りる頃には、肩は腕を上げなければ痛まない程度になっていたが、
山で油断してはいけない、ということを痛感した。

今回は二人でセダカが5頭、フジが3頭と奥多摩でのコブ叩きとは思えないような成果だった。
これまで何度挑戦しても採れなかったのが嘘のようだ。
しかし、数日後にはさらに驚くことになることを、この時の私はまだ知らない。

By かっきー


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