巨大なオサと小さなクワガタ
(21-23.XII.2013)
参加者:マナミ・かっきー・トシ



世間はクリスマスムード一色のこの季節。

無骨なコートに身を包み,船に乗り込む学生たちが居た。

彼等が向かうは伊豆諸島最大の島,伊豆大島。

こんな時期,彼等は一体何をしに行くのだろうか・・・



ってもちろん,虫採りです。はい。


今回のメインターゲットは次の3種。

近年生息が報告されたばかりの "マダラクワガタ Aesalus asiaticus"
関東では珍品 "ネブトクワガタ A. l. subnitidus"
そしておなじみ "ヒメマイマイカブリ D. b. oxuroides"

クワガタ屋のかっきーは前者2種を,オサ屋(?)のマナミと筆者はマイマイを狙います。


が,しかし・・・ここでひとつ大きな疑問が。
それは ”クワガタはともかく,大島のマイマイは冬にとれるのか?” ということ。


伊豆大島のヒメマイマイカブリは黒色かつ非常に大型の個体群。
区分としては,ボウソウマイマイやモンローマイマイに近い集団と考えられています。

ってことはつまり,オサ掘りではかなり採りにくい地域なんじゃぁ・・・

その不安を裏付けるかのごとく,伊豆大島のマイマイ採集記録は夏場ばかり。
調べても調べても冬の採集記録は見つかりません。


(うむむ,なんかオラ急にやる気がなくなってきたぞ・・・)

しかし,行くと言ってしまった手前,もう後には引けません。
こうなったら意地でも採る!! そんな決意を胸に,竹芝港を発つのでした。







波に揺られて8時間,伊豆大島に到着!!

そのままバスで移動します。



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時刻は午前7時。
ようやくポイント付近に到着です。

残り4`,ここからは徒歩で目的地へ向かいます。


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少し進むと小さな砂礫地。

周囲には照葉樹林が広がっています。



林内には立派な松の立ち枯れがポツポツと。

まるで佐渡みたいな環境です。



これならマイマイもすぐに出るんじゃないか?

目的地までは未だ距離がありますが,ここで少しトライしてみましょう!!


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期待しつつ大きな材を幾つか割るも,ゴミムシの気配すらナシ。



材がダメなら土盛じゃ!!

いかにもといった風な根上がりを掘り返しますが・・・・
出てきたのはニホントカゲのみ。



まァ楽じゃないよねそりゃ,なんて呟いた瞬間・・・「出とぅあ!!」
西の方角からかっきーの叫び声。

(ああ,ネブトは採れたか! 良かったなぁ)

そう思いつつ,採れたの見せてー,と近寄って行くと・・・



マイマイじゃねーか!!(絶望)


「マツの根上がり掘ってたら出てきた」・・・らしいです。
同じような環境を攻めていただけに,悔しさ倍増。

というかお前は根上がり掘ってる暇有ったら赤枯れ材探せよ!ムキーッ!!



ザッパーン・・・ああ海が綺麗だ。

その後1時間に亘る探索にもかかわらず,ここでマイマイが出ることはありませんでした。


・・・さて,だいぶ日も昇り,そろそろ宿泊所にチェックインできる時間です。

ここは所詮前座。そろそろ本命のポイントに移動しましょう。



無事,ロッジにチェックイン。

余計な荷物はここに置いて,いざ目的の地へ!!



さらに歩いて10分ほど,ようやくたどり着きました。

ここは伊豆大島で唯一,ネブトやマダラクワガタが生息している地域です。
比較的若い森に見えますが,林床には巨大な朽木があちこちに横たわっています。


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採集を始めて早々,かっきーがマダラクワガタの幼虫を発見!



入っていたのはこんな材。



オオシマザクラの小さな赤枯れです。

こんな貧相な材から採れるなんてスゴイなぁ,とは思えども,こっちはそれどころじゃありません。
とっととマイマイカブリを出さねば,わざわざここまで遠出した意味が無くなります。

さて,先ずはセオリー通り立ち枯れから当たるも・・・クチキムシしか出てこない。



かといって倒木は・・・何十本も崩してアオオサムシが1頭。

頼みの綱の土盛も,めぼしい虫はルイスオオゴミくらいです。



そしてそのまま1時間・・・やはりマイマイは出ず。

もはや無心で材を割り続けます。


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そして自分がどこに居るのかもわからなくなった頃,

ようやくソイツは現れました。



(ああぁ・・・)

暫し放心した後,こみ上げてくる喜び。
ボウソウマイマイを採った時の気持ちが蘇ります。

サイズは53_ほど。
腹部がぽっちゃりとした,立派な伊豆大島のマイマイです。

うんうん,採れてよかったー・・・



さて,ボウズが無くなり気は楽になったものの,ここから帰る道が判りません。

仕方がないので,沢を下って海岸へ向かうことに。



下る途中でハラビロカマキリを発見。

今の時期に成虫って,ちょっとおかしいような。


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10分ほど沢を下り,もと来た道になんとか合流。
ようやく一安心です。

追加を得るべく,再度道を外れると,これまた良さそうな材が。



柔らかい辺材部を崩してみると・・・



まさかの追加!

幸運は重なるものですね!!

そしてなんと隣の朽木からは・・・



ネブトクワガタの成虫。

おお・・・こんな材に居るんだ。

入っていたのは赤枯れでもなんでもないマツの倒木。
広葉樹の赤枯れをイメージしていただけに,驚きです。



1頭見つかると次々出てきます。



結果,この材だけで10頭ほどの成虫と数十頭の幼虫が得られました。

周りの材にも幼虫は多く,局所的にはかなり濃く生育しているようです。


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周囲の材も大方確認したため,更に海岸方面に移動します。

目についた新しめのマツの倒木,少し削ってみると・・・おや



このおしりは・・・



・・・やっぱり!!



意外ときちんとした越冬窩を作ってますね。

ちなみに,この材があったのは海岸目前の斜面。
伊豆大島のマイマイカブリにとって,海の遠近は余り問題ではないようです。



3頭目をゲットした時点で時刻は午後3時近くに。

後はロッジへ戻りつつ採集します。


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帰り際には♂のマイマイが採れました。
これで雌雄を確保です!

なおこの個体もマツの倒木から得られました。



しかし,伊豆大島のマイマイカブリは♀の比率がやたらに高い印象を受けます。
(筆者が知る限りでは,8頭の採集例のうち7頭が♀)
ネット上でも,♂の画像が殆ど見受けられないのは偶然でしょうか。


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さて,皆無事にロッジへ戻り,本日の採集は終了です!

かっきーはマダラの成虫が多数得られたそうでご満悦。
マナミは不運にも狙いの虫は採れませんでしたが,それはそれで楽しめた模様。

カップラーメンを食べ,星空を見ながら眠りにつきます。

それではまた明日ー・・・





おはようございます!!



朝は大島といえど冷え込みますね,結構寒いです。

今日は昨日あまり振るわなかったマナミのお手伝い。
といっても余計な口を挟むくらいしか出来ませんが・・・



昨日ネブトとマイマイが採れたポイント付近。

早速ネブトの幼虫が出てきます。
相変わらずかなりの密度です。



ちょっと崩しただけでいくつもの幼虫が転がり出てきます。

暫くして,マナミも成虫をゲット!!



結局,本命のマイマイカブリは出ませんでしたが「近いうちにリベンジする!!」とのこと。

恐ろしい熱意。どうやらマナミは "虫屋屋" から "虫屋" に進化したようです。


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本日の採集は午前中のみ。

昼の船で本土に戻るため,そろそろ港へ向かいましょう。


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お昼ご飯は地元の居酒屋で。



カップラーメン三昧だった舌には贅沢すぎるメニューです。

ご飯を食べたらすぐに乗船。伊豆大島を発ちます。



楽しい思い出をありがとう!!

今度は夏に来たいものですね。





By トシ


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