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春の河川敷で
(28.IV.2013)
参加者: かっきー、Sさん(ゲスト)



日本のクワガタの中でも最もクワガタらしくないクワガタ、マグソクワガタ。
大腮は発達せず、小さくて丸っこい体型はコガネムシにしか見えないうえ、春の河川敷を飛び回るという生態もおよそ他のクワガタとはかけ離れています。
しかし幼虫を見ると明らかにクワガタで、分布が局所的な日本特産種(同属の種も北米から2種が知られるのみ)ということもあり、面白い種です。
関東では2か所からしか公式な記録がなく、うち1か所は最近採れたという話を聞かないので、某雑誌で発表された神奈川県某所の河川敷が実質関東唯一のポイントとなっています。
実は昨年も一人でこのポイントに来たのですが、着いてみると工事で重機が入っており壊滅状態。運良くその近くでも発生地を見つけたので、採集できました。
昨年来た際には♀がボロ1頭しか採れなかったので、リベンジということで日頃からお世話になっているSさんをお誘いし、昨年と同じ場所に行ってきました。

電車とバスを乗り継ぎ、10時半頃に現地着。
ポイントに近づくと、あれ?人が多い… しかも網のようなものを持っている…
やはり採集者でした。飼育関係でお世話になっている知人もいらしており、合計10人以上の採集者が河川敷に集結するというシュールな光景。
この場所は自力で見つけたつもりだったのですが、どうやらこちらも有名なポイントだったようです。
昨年は誰もいなかったのは、平日に来たからでしょう。

昨年採集したあたりの環境。砂が堆積していることが本種が生息する条件の一つらしいです。



先に来ていた方々と話してみましたが、まだどなたも採れていないとのこと。
本種は午後から飛び始めるという情報もあり、昨年1頭目が採れたのも12:30頃だったので、ダメ元でスイーピングしてみます。
するとヒゲブトハナムグリ、ビロウドコガネの1種、ウスチャコガネ、キクスイカミキリ等が採集できました。






砂の上にはアリジゴクが歩いていたり。



狙いの虫の姿は見られないまま昼過ぎに。
いつの間にか対岸に珍走団が集結しており、改造マフラーをふかしながらノーヘルで土手を走り回って喧しいことこの上ない。
しかし我々虫屋も網を構えて河川敷に集まっており、怪しさではいい勝負かもしれません。

13:30頃、ついに1頭目が採れたという声が。とうとう飛び始めたようです。
地表近くを飛ぶ虫なので、地面に目を凝らしてみると、それらしき個体が飛んでいます。
ネットインすると、当たり。マグソクワガタの♂です。



こんなところを飛んでいました。



Sさんも採集できたようで一安心。
これ以降はどんどん飛ぶようになり、全員で数十頭は採集したと思われます。しかし、1頭の例外もなく全て♂。



やはり本種の♀は採集が難しいですね。
昨年も♂は多数採集してるので、数頭採ったらもう満足。生態写真も撮影しました。



飛び始めてしばらく経過すると、砂の上に静止している個体も少なからず観察できました。
満足できる数は採れましたが、発生初期のためか個体数は期待よりも少なかったです。

16時を過ぎた頃からはセマルケシマグソと思われる小さなコガネムシが砂の上に出てきたので、これも採集してきました。
あまりにも小さいため、筆者のスマホのカメラでは撮影できず…

マグソクワガタは飼育下では雌雄がほぼ同数羽化するものの、採集できる個体は♂が大半を占めるということから、採集圧が本種の生息状況に与える影響はごく小さいと考えられます。
しかし工事が入って地中に埋まっている発生木がなくなってしまえば、関東では貴重な本種の生息地があっという間に失われてしまうのは自明です。
この場所でいつまでもマグソクワガタが観察できることを切に願います。



By かっきー


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