KUPUKUPU IN BALI
〜1,2日目 昼下がりの妖婦〜
(27,28.V.2013)
参加者: dazai39
先日 埼玉にて 色々な虫屋さんが集まる催しがありました
そこには 我が昆虫研究会OBの方々も数多く参加されておりまして
私もかっきー氏の手伝いで参加しておりました
隣のブースの方や 諸先輩方 また同級生から海外における採集の話を伺った 私
この春休み 何処に行くべき哉
去年はこの時期ローマ観光でしたが
今年は インドネシア
バリ島です
名目上は家族旅行のため 四泊六日の旅ですが
せっかく行くからには ねえ
久々に 網を振りたくなる季節ではないですか
今回の目標は
kupukupu(チョウ)
特に狙ってみたいのが Delias & P. peranthus
美麗種好きといたしましては ぜひ拝見したいものであります
そこで 厚かましいことを承知で
OBのAさんにバリ島在住のDさんを紹介していただきました
この方 昆虫業界では知らぬものはないであろうというすごいお方です
インドネシアに於いて 数多くの蝶を発見された方なのです
小生は Baliに行くからには
ぜひお会いしたいと 思っておりましたところ
なんと なんと
採集場所を案内していただける運びとなったのであります
期待を胸に出立したのが3月27日夜9時
今回は成田からではなく羽田から飛びます
国際線就航以降は羽田に行っていなかったため久々であります
因みに 27日も11時集合でありますので一日分に含まれます
そして羽田を出たのが 午前1時
暫しの別れ さらば 日本
いつも通り飛行機の中では眠れず
carpentersを聞きながら 目を閉じます
バリは欧州に比べれば近いので 7時間で到着です
飛行機はバリ島に近づくと
旋回するように 降りてゆくため
アグン山 キンタマーニ高原が美しく 朝日に映えておりました
空港に 到着すると
暑い
とにかく暑い
午前7時で29度 湿度は80%後半
そして熱気とともに どことなく饐えたような甘い香りがします
これが熱帯なのでしょうか
私たちが宿泊したホテルCはNusa-Dua地区にありまして
まずは H○Sの方にホテルまで送っていただきました
途中でスコールに降られ気温は少し下がりました
…
ホテル到着後
とりあえずバリスタイルである半ズボン 半袖 ツッカケに着替え
出発までの2時間ほど海辺を徘徊します
もちろんリュックには三角とネットを忍ばせて
先ほどのスコールの影響か気温が下がり(30℃は切っているくらい)
日差しも僅かなので殆どチョウは飛んでいません
しかし天気の回復は 思った以上に早く
1時間もブラブラしていると日が差し始めました
色取り取りの綺麗な花が咲いてはいるのですが
チョウは全く来ていません
首をかしげながら歩いていると
遠目ながらに シロチョウが飛んでいるのを発見
何の変哲もない木なのですが よくよく見ると
小さな薄緑色の花が咲いているようです
芳香を放っておりますためか
クマバチのような 大きなハチが群がっております
更に近づくと 数は少ないながらも華麗に舞っております
Delias です
低地性の種類に間違いはありません
確保すべくアミを取り出します
ホテルの中で大胆にネットを振ると
下手すれば通報されるらしいので
人のあまり居ないビーチの一角を選んだのであります
さてアミを振ろうとしたところ
”Kupu-Kupu? Butterfly?”
と現地の方が笑いながら話しかけてきました
この木には時期がよければ 何十頭ものDeriasが乱舞しているそうです
今日はあまりいないなあといって木を揺らしてくれました
すると数匹のDeliasが飛び立った!
バリ採集一匹目
Delias periboea wallacei
ペリボエアカザリシロチョウ
緋と黄の装いの中
闇を含んだ黒の微笑
まさしく”Delias” 妖婦の名に相応しい装いです
「あでやかに青年を見返りながら、小指を何とも云えない好い形に折り曲げた左手で
鬢の後れ毛をかき撫でる序に、地味に装ってきた黒のリボンに触って見た」
(有島武朗『或る女』)
悪い癖で チョウを持つと指先が震えてしまうため
三角紙に入れるとき少し焦ります
Deliasを収納していると
先程の方が 別の方を呼んで
私のアミを使い 二人がかりで Deliasをとってくれました
私より 格段に上手
時間が来たので お礼を言い ビーチを後にします
幸先の良いスタートが切れこれからの4日間が楽しみであります
昼食後ホテルを出立し家族はウブドの遺跡 王宮を見にゆくため
私は再び空港近くのDさんの事務所で一人降ろしてもらいました
Dさんの事務所には
大阪からいらした”先生”とドイツ人の研究者一家が既に居られまして
沢山の標本を選んでおられました
私もDさんにご挨拶かねがね友人たちへのお土産を選びつつ 現地の話を伺います
すると
「この近くでも低地性のカザリシロチョウならいるから案内します」とDさん
事務所から少し行ったところ数本の木がありまして
よく見ると チョウが飛んでいます
近づいてネットを振ります … 逃げた あ 入った !
確認 確認
Delias hyparete
ピパレーテカザリシロチョウ
です
初日でDelias2種getです
この後 Dさんの発見したポイント
ルリジガバチが来る 「某さんちの壁」
を見ますと
…いた!恐る恐る網を伸ばしますが
逃げました
「まあ 時間がたてばまた来ますよ」
ということで Dさん邸前まで来てその付近でチョウ採集
コモンタイマイ!
と思って網を振ったら 見事に スカ
怪しい奴と思ったのかイヌがぞろぞろでてきます
日本の犬と違って 鎖につながれておらず何時噛み付いてくるか判らない
「犬の傍らを通るときは、どんなに恐ろしくても、絶対に走ってはならぬ
にこにこ卑しい追従笑いを浮かべて、無心そうに首を振り
ゆっくりゆっくり内心、背中に毛虫が10匹張っているような
窒息せんばかりの悪寒にやられながらもゆっくりゆっくり通るのである」(『畜犬談』)
そそくさと引き揚げます
Dさんは先に事務所へ戻られ
私はもう少し付近を徘徊します
再び「某さんちのポイント」に来ると
いた!
逸る気持ちを抑え 慎重に
ドゥリャ… ハイッタァ!
美麗種好きとしては 堪らない美しさ
藍 赤 緑が美しく鏤められてあります
熱帯だけあって 日差しが凄まじい
聊か歩き回っただけで 汗の滴が零れ落ちます
採集は切り上げ 事務所に戻り
明後日 明々後日の採集について色々伺います
バリ島の高地には Delias珍種 D.sambawanaが生息しているのですが
ちょうど今は発生し始めたかそうでないか微妙な段階
P.peranthusは今年は多いので集落に行けば間違いなくとれますとのこと
滞在時間が短いこともあり できることなら色々な種類を見た方がよいのではということで
30日は事務所にいらした”先生”とDさん 私の三人で
南部の半島(Nusa-Dua)に採集に行こうという話に
31日はやはりP. peranthusを持ってくる、という方向に決まりました
家族がウブドから戻ってくるまで土産を選び
御礼を述べ 午後5時過ぎに事務所を後にしました
部屋に戻って採集品と土産の整理をし
Dinnerをとった後 明日のことも考え
(不眠不休で走り回っていたこともあり)
早めに就寝です
明日は家族でバリ島近くのレンボンガン島にゆきます
さて 何が待ち受けていることやら
TO BE CONTINUED
by dazai39
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