オオトラカミキリ採集記
(12.IX.2012)
参加者:かっきー



今年入った一年生による初の採集記です。
どうぞよしなに。

多くの昆虫の発生ピークも過ぎた8月の終わりから9月にかけて、スズメバチに擬態した大きなカミキリがモミの樹幹に現れる。
大型・美麗・珍品と三拍子揃ったこの種は、カミキリ屋のみならず多くの昆虫愛好家を虜にする。
そう、我が農工大昆虫研究会のOB会にもその名が冠されている、 オオトラカミキリ Xylotrechus (Ootora) villioni (Villard, 1882) である。

筆者はカミキリムシ科の採集に特に力を入れているわけではないが、ミーハー虫屋としてはオオトラは是非採集しておきたいところ。
ポイントを知らないと非常に採集の難しい種ではあるが、昆研の1年二人は幸運にもこの夏採集地で知り合った方にポイントを案内していただく機会に恵まれた。
案内していただいた日には真新しい羽脱孔こそ発見したものの、悪天候だったということもありオオトラの姿を拝むことはできなかった。
そして、今日。満を持してオオトラを狙いに行く。





筆者は先月運転免許を取ったばかりで、まだ知らない道を運転する自信がない。
そこで、今回はポイント最寄駅まで電車で行き、そこから自転車でポイントに向かうことにした。所謂「輪行」だ。
ちなみに自転車は輪行袋という専用の袋に入れれば、追加料金なしで電車に持ち込むことができる。


輪行袋入り自転車



駅に着いたのが12時半頃。自転車を組み立て、ポイントに向かう。13時くらいに1つ目のポイントに到着。
なお、案内していただいたポイントは3か所だが、うち1か所は少し離れているので他の2か所で採集を試みることにした。
この辺りは基本的にスギの植林で、オオトラはその中にぽつりぽつりと点在しているモミをホストとしている。
このポイントは10本ほどのモミが集まっており、その殆どにオオトラの幼虫による特徴的な食痕が走っている。


食痕1



食痕2



ここは足場もよく、すぐ近くにあるモミを順番に見て回るだけなので楽に探すことができる。
さて、とりあえず一通り見まわってみるが、そう簡単には見つからない。
少し離れたところにあるモミを確認しに行こうとしたところ、3cmくらいで黄色と黒の縞模様の昆虫が飛んでいる!
「来たか!?」と急いで網を構えたが、よく見るとコガタスズメバチである。がっかり…
その少し離れたモミにもオオトラの姿がないことを確認すると、気を取り直してもう1周ポイントを回る。いない。


一息ついてからさらにもう1周。すると…
やや細めのモミの、地表から1.2mくらいのところに大型の昆虫が!!!
見た瞬間にオオトラだと確信し、手掴み。


オオトラ!



「いやったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


民家に程近い里山の中で、我を忘れて叫ぶ狂人がひとり。
少し興奮が収まってから、とりあえず撮影。しかし後で確認すると1枚もピントが合っていない…


オオトラ2





オオトラ3





この木についてました。

モミの木




追加を期待して少しこのポイントで粘ってみるが、オオトラは現れないのでもうひとつのポイントへ移動。
こちらは足場が急な斜面となっており、さらにそれぞれのモミの位置が離れているため体力を消耗する。
藪漕ぎしながら十数本のモミを確認したものの、オオトラの姿を見ることはできなかった。
ここでもう少し頑張るという手もあったが、とりあえず1頭は採れているので今度はマイポイントを見つけるべく移動してみた。
すると良さそうな場所を発見。道沿いに多くのモミがあるため、斜面と違って虫の姿を探しやすい。だがいない。
この場所はまた見に来ることにして、さらに離れた場所でもモミを探してみたが、なかなか良さそうな場所は見あたらない。
やっと1か所だけ見つけたが、モミの本数は少ないうえに食痕があるものは半分以下だった。ここはあまり期待できないかもしれない。
時計を確認すると15時過ぎ。自転車という大荷物があるので、電車が混む前に帰路に就くことに。
まあ、1頭採れれば上出来だろう。


帰宅後、ノギスて計測してみると頭部から上翅先端まで27mm程度、尻の先まで入れると30mmほどになる。そこそこ大きい個体のようだ。



オオトラ展脚




ポイントを教えてくださったSさん、本当にありがとうございました!



By かっきー



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